二重埋没法に美容外科の原点がある

 私は大手美容外科に勤務していた頃、新人Dr.に次のように話していました。「切らない、腫れない、傷が残らない、自然。 埋没法に患者さんが求める美容外科の原点があるのですよ。埋没法を馬鹿にして、もし『埋没法はやる気になれないけど、フェイスリフトならガッテンだ!』なんて言う先生がいたら、美容外科が向いてないです。埋没法が綺麗に出来なくて他の手術が綺麗にできる美容外科の医者を私は知らないです。」 
 もっと遡って私が大塚美容形成外科に入職間もない頃に、橋本副院長が「埋没法は何回やってきても、時に難しいと感じる症例があるものです。」と、この道30年のベテランでも言われていたのが印象的で記憶に残っています。後年、私もそれに習って大手の新人Dr.に「埋没法は入口は広いけれど極めるのは難しい。」とも言ってきました。 
  埋没法は単純な縫合であっても精緻な仕事で、手術中に研ぎ澄まされた感性を要求されます。実はその空気というか雰囲気が私は好むところです。私の著書のあとがきに「脳からアルファ波が発せられているのでしょう。精神統一され、~高揚感に包まれるのを感じます。」と書きましたが、これは埋没法を念頭に置いて書いたものです。この手術を21年前に執刀させてもらった時、「あっ!これだ。」と感性のときめきを感じたから今の自分があると思っています。