Archive for the ‘脂肪’ Category.
2012年2月5日, 11:03 PM

昨日の救急医学会で「脂肪吸引術後に脂肪塞栓症候群による~1例」との発表がありました。演者の発表では患者さんは術直後から容体が悪くなり、気管内挿管して搬送されたそうです。その時に頻脈、レントゲン的に全肺野の透過性の低下(しかしこの疾患の特徴であるSNOW STORM陰影の発言はなく、私も違うと思いました)、挿管時酸素投与にてもSaO2が91の低酸素血症、MRIで小脳の2ヶ所の高信号から急性脳梗塞、造影CTで正中付近に肺浸潤 末梢の肺動脈に陰影欠損、皮膚に点状出血斑を認めた(この画像は映写無し)。以上から脂肪塞栓症候群と認めたとありました。私は術直後から重症であったことなどからも誤診ではないかが気になりましたものの、最低限の事は尋ねたいと思い挙手し質問、意見もしました。
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木村:患者さんは身長・体重は幾らでしたか?
演者:身長150cm、体重90キロでした。
木村:(90キロ!! 150㎝でこれでは手術適応と言えるか!)
吸引した脂肪の量は幾らでしたか?
演者:知りません。
木村:(大事な事を聞いていないじゃないか!)
脂肪吸引したクリニックはマトモなクリニックだったんでしょうか?
演者:有名なクリニックです。
木村:いわゆる大手でしょうか?
演者:そうです。
木村:大手の場合、脂肪吸引は(顔をいじれない)ド新人が担当するケースが多く、標準的な術式でやったのではないケースは考えられると思います。また本来、脂肪吸引後に吸引した部分をローラーなどで圧迫しても、吸引管の差し込み口からの排液に、見た目の油滴は見ないものです。
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フロアーから挙手した医師:僕らが脂肪塞栓症候群だろうか?と後から考えるのは長管骨骨折後なのですが、本件は、どのようにして脂肪滴が血管内に入って行くものでしょうか?
演者:傷ついた血管から入って行くものと思われます。
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(・・・そんな訳ないでしょう。血管は損傷したら出血するのであって、出血しつつ脂肪滴を吸収するなんて有りない。だからこの四半世紀の美容外科学会でただの1例も脂肪吸引後の脂肪塞栓の報告はない。大腿骨骨折後に脂肪滴が血管内に入り肺や脳に達するのは小児医療で用いられる骨髄内輸液同様に骨折後の脂肪滴が容易に流入し易いからである。脂肪吸引では、そのような環境にない。)そう思ったものです。
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2012年1月13日, 8:19 PM
本日は創外固定・骨延長学会があったのですが、学会誌の表紙がモトローラフォンにようなデザインで、こういうのが流行りかと笑えました。
さて演題ですが、「ラット脂肪由来幹細胞移植による骨延長部骨形成促進法の開発」というのがあり、脂肪由来幹細胞(adipose-derived stem cells)は骨延長部の骨成熟を促進する」との仮説立てて注入した金沢大学整形外科の先生たちがいました。
結果は有意に組織学的にも軟骨性骨化の促進を認め、骨成熟促進に関与していることが示唆されたとありました。
この件は大変興味深くあります。実は骨延長部の仮骨部に幹細胞を注入しようという臨床医療は十数年前から行われているのですが、切った骨の上下から骨髄液が来るのだから、もうわざわざ腸骨あたりから骨髄性の幹細胞を移植するまででもないという意見と、いや、やはり意義があるという意見はぶつかっていて統一した見解を観ていません。
これが骨髄由来でなく脂肪由来なら、また違うのか??と私には思わせたのでした。
なおこの幹細胞の件ですが、美容外科学会ではキチンとデータも取っておらずに真似事だけで費用を上乗せしている医療機関があるとの批判も多々出ています。
2011年12月17日, 7:50 PM
バッカルファットを切除したあと、捨ててしまうのも惜しいですから、脂肪注入の材料として使う事があります。
美容外科学会で発表としてあるのは神奈川クリニックの10年くらい前のものだけですが、現在は全国各地で行われているようです。神奈川クリニック発表内容は要は「有用だった。」ということでしたが、通常の皮下脂肪を材料とした脂肪注入との定着率の差や、口の中から取る以上、感染のリスクや対策という話は聞けませんでした。しかしこれは症例数をかなり積み上げないと皆の前では言い難いものと思います。
私個人の感想ですが、通常の皮下脂肪を材料とした脂肪注入との定着率の差はあり少し低くく、それは血流再開というより含有コラーゲンの量が少ない為。感染のリスクは顔面注入に関してはゼロ。感染対策は術前に十分口腔内のうがいをさせたなら、摘出脂肪は繊維を切って注射器に詰め込むだけで抗生剤入り生理食塩水で洗わない方が定着率が良い。その理由は生食と言えど十分洗ってしまうのは脂肪を挫滅させる。また何かの因子(幹細胞とか)が抜けるからと思う。・・・と考えております。
先日のコンデンスリッチファット(CRF)講習会では脂肪を専用器具で細かく砕いて30G針でも注入できますとの話も聞け、フィラーとして積極的に使用する意義への賛同はありますが、余りに細かく裁断することへの脂肪のダメージ等も気になりました。CRF講習で聞いた生着より壊死後の再生が多い話や、バッカルファットの注入も含め、脂肪注入外科は、まだ解明出来てない部分が多いものです。

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2011年11月24日, 10:16 PM
注射器で脂肪注入した脂肪が生着するのを直接確かめるには、その部位を切開して見るべきでしょうが、たとえ注入後に顔や胸を切る機会があったとしても、注入脂肪が元々あった脂肪の中に混在するため明確に「あった!」と言い難いものです。
しかし脂肪注入の対象部位なのに元々脂肪がないところがあります。それは陰茎です。男のシンボルだから細いのは辛いと、安見先生がご健在だったころのヤスミクリニックでは随分行いましたし、後年勤務していましたコムロ美容外科でも程々やりました。
すると中には脂肪注入をやった後で包茎手術を希望される人もいて、余剰皮膚の切り取りをしますと、普通の包茎手術では見ることのない黄色い脂肪を陰茎皮下の白い組織の中に混じった形で認めたのでした。
注入脂肪が壊死して油滴となって被膜で囲まれシコリ(Cyst)となったものもあっても、顔や体幹にメスを入れた時に見る脂肪と同じものも見つけたのでした。平成7年だったと思います。
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2011年11月22日, 1:22 PM
昭和の時代は、形成外科と無縁な美容外科クリニックの方が多かったもので、当院の先代の安見正志先生も産婦人科出身でした。
先生の書架には大森清一先生の「形成外科学」などの形成外科医の著書もありましたが、「脂肪はDermal Fatでないと生着しない。」などとは昔から思っておられなかったそうで、何と昭和40年代から脂肪注入を行っていたのでした。
脂肪吸引が今の手術スタイルの原型で始まったのが1976年(フィッシャー:昭和51年)または1977年(フルニエ、イルーズ:昭和52年)と言われ、脂肪注入はその後に付随して行われていったのですが、安見先生は彼らより注入に関して先駆者だったのです。
ただ安見先生の脂肪注入は顔面注入として、下腹または大腿内側から脂肪を少量吸引→少量注入→期間を空けて再注入でカサを増すといったもので、具体的なテクニックとしては18ゲージのカテラン針を12または25ccの注射器と連結、エピネフリン入り局所麻酔剤を下腹または大腿内側の注射した部位に刺して注射器の内筒を引きつつ陰圧にして今で言うチューリップシリンジの感覚で吸引、シリンジ内がだいたい一杯になったら、注射器を立てておいて脂肪が分離したら、その脂肪部分だけ同じ注射器・同じ注射針で顔面の凹みに注入するといったものでした。
安見先生がそれを始めた昭和40年代に脂肪吸引や脂肪注入なる言葉は存在せず、安見先生の独自用語で「納脂」と呼んでいました。しかし残念なことに先生はこれを学会発表されませんでした。批判もあろうからそれが嫌だったと言われていました。ちょっと惜しいと事と思いました。(続く)
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2011年11月21日, 1:56 AM
昨日は脂肪注入の手技としてのコンデンスリッチファット(CRF)の講習に出ました。講習に出て感銘と同時に疑念を覚えた事があります。それは脂肪注入の脂肪は実は大半は壊死するのだが、同時に注入された幹細胞によって新しく脂肪が作られるので、脂肪注入の成果が得られているというものです。
この話は幹細胞による効果を強調しています。・・・『そうかも知れない。しかしそれほどでもないかも知れない。』思えば、脂肪を注射で注入しても生着すると認められてきたのが昭和61年頃からです。その3年くらい前から日本においては脂肪吸引が一部の美容外科クリニックにおいてまともに取り組み始めたというところでしたので、捨ててしまう位ならダメもとで入れてみるか?とやる医師が出て、その成果に気付いたと聞いています。
私が学生の頃に読んだ標準形成外科学や形成外科手術書には、脂肪はそれ単独では移植しても無理で、真皮とくっ付けて「Dermal Fat」として移植するなどと書いてありました。しかし後年、形成外科において、その概念が覆されたのです。(続く)
2011年11月9日, 10:09 AM
先日、お尻~太もも~膝の脂肪吸引後、1週間過ぎていますのに、腰から両膝までかなり痛く、ベッドやトイレまでの歩行も辛く、日常生活がまともに出来ません等という内容のメールを受けました。すぐ来院して頂きましたが、術後1週間の時、ストッキングが破れ、そこから太ももがパンパンに腫れたので、もうストッキングを履けてないとのことでした。
この人の場合、手術日に市販の割と圧迫力のあるストッキングを持参されていましたので、翌日退院時は、それを履かせ、同じもので良いですから重ねて履いて下さい。と言って帰宅させ、術後6日の抜糸の際は、それなりに普通の経過でしたから、心配してなかったのですが、甘かったです。
脂肪吸引後のストッキングの脱着もそれなりに辛いのですが、これが辛いからと早い時点で履かずに過ごすと、特に下肢の場合は心臓より位置的にかなり下ですから鬱血による晴れが来て、それこそパンパンに太くなります。ですから、辛くてもストッキングは履き続けなければならないのです。
写真のようにこの人は約5リットルの脂肪を吸引出来ましたし若く肌質も良いですから、完成が楽しみですが、途中、術翌日より明らかに太くなっ脚を見てビックリしました。しかし先日のメール後すぐ来させて専用ストッキングを履かせ、その数日後に再度チェックしますと落ち着いてきていましたので、ホッとしました。
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2011年6月27日, 11:58 PM
アゴの骨の事ばかり書きましたが、じゃあ脂肪吸引でアゴをスッキリさせるのにリスクはあるかと言いますと、若い人に行う場合、後々長引くような問題は生じないものです。
写真では術後7日の時、少しの内出血による肌の黄色変化がありますが、お化粧で隠せる範囲ですし、この部位の脂肪吸引では大半の美容外科医師は細い吸引管で脂肪吸引しますから、ボコボコとはなってないものです。しばらく肌の硬い時期がある、触ると感覚が鈍い時期があるのも事実ですが一過性ですし、中高年に行わなければ若い人は肌が引き締まるので、なかなか「弛んだ。」とまではならないものです。
なぜ引き締まるかと言いますと、若いから・・・というのもありますが、顔の脂肪吸引のように脂肪が厚くない層の脂肪吸引を行えば、結果的に皮膚の裏を吸引管で手術中は擦り続けることになり、それが「拘縮」として肌を引き締めさせているのです。
尤も中高年にやるとなれば、肌を引き締まりにも限界がありますから、フェイスリフトも併用のカウンセリングをしています。
2011年3月26日, 1:57 AM
先日 バッカルファット切除をして1ヵ月経ちました。スッキリした輪郭になって総じて良好です。しかし表情によっては上手く馴染んでいないように見えることもあります。
術後1ヵ月ですから腫れは引いていると言えますが、元々バッカルファットは表情筋より下層にあるので、より表面に近い筋肉・皮下脂肪・皮膚がバッカルファットの減少によって組織改変をしていって本当になじんで完成と考えています。その時期は術後半年を目安と観ています。
2011年3月24日, 1:46 AM
先月行ったバッカルファット(Buccal Fat:頬骨下脂肪塊)切除の人の経過ですが、やはり腫れます。3日がピークだと言われていましたが、術後の痛みは軽く早期に収まり、局所熱感もほぼ無く、経過は普通だと思われます。1週間もすれば取りあえず綺麗になりましたね。と言えますが、画像では左側(向かって右)のフェイスラインに滑らかさを欠いています。腫れの残り、余剰皮膚などが原因と考えますが、若い人なので今後問題なく落ち着いてくると予想できます。
2010年12月4日, 5:35 PM
本日腹部の脂肪吸引をしましたが、写真の通り、5 リットル吸引しましたから、日本においては大量脂肪吸引の部類に入るかと思います。もっとも欧米では10 リットル超えるのが「Mega Liposuction」として大量脂肪吸引の定義となります。
日本では長らく吸引量に関して医師の間に間違った考えが横行し、「1.5 リットル以上の脂肪の吸引は危険」などと言ってきた学会の重鎮もいますし、今もそう思っている美容外科医師がいます。
この写真の患者さんは、もう、歩いたりジュースを飲んだりしてお元気に会話もされますので、ついでに写真使用を快諾してもらいました。脂肪吸引を「危険!」と言ってる医師ならば左記の写真を見て「脂肪の下に結構な血液があるじゃないですか!」と言って来るかも知れません。しかし実際のところはほとんど生理食塩水で血液含有量は3%前後です。私は以前5回ほど、ビンの下の赤い水を三菱化学BCLの検査センターに出して血液含有量を調べています。割と赤く見えるのは、丁度コップの水に赤インクを3滴垂らしても真っ赤に見えるのと同じです。