Archive for the ‘イリザロフ’ Category.
2012年1月18日, 12:13 AM
「安井夏生」・・・この先生のお名前を知ったのは平成2年です。私が日本創外固定研究会・骨延長ワークショップ(当時の名称)に入会・参加・発表した年です。学会参加中に、安井先生の最先端を行っている発言を見聞きしましたから、まだ若いけど学会をリードしている先生だと直ぐ分かりました。同年秋に久留米大学整形外科の医局が安井先生が翻訳された「骨延長―その方法と適用」の医学書を購入しましたので、一通り読んで、骨延長への憧憬が更に高まりました。それは私が久留米大学整形外科で初の骨延長の患者さんの主治医になった事があった思い出に積み重なったものでした。
当時、安井先生は防衛大病院整形外科に所属されていました。それで翌年春に私が湘南鎌倉総合病院の整形外科に移籍した際、『関東での骨延長は安井先生の防衛医大か黒川先生(教授)の東京大学の2つが、まともに取り組んでいる施設だから、どっちかに勉強(見学)に行きたい。』と思いました。結局後年にはなりましたが東京大学病院に6~7回、外来および手術の見学をさせて頂きました。なお黒川教授はスンナリ見学をOKして下さいました。大学病院とは教育機関ですから当たり前とも言えますが。
そういうことで安井先生と私の接点は殆どありません。たった1回だけ、学会の休憩時間の際に、アルビジアネイルの事など少々ご質問し、お答えして頂いただけです。
じゃあなぜブログに接点の殆どない先生の事を書かせて頂いているのか?と言えば、安井先生ご自身が書かれたと思えるHP「若者の夢」を見つけて「面白い!」と思ったからです。そのHPに添付の写真がありますが、先生は昔、剣道部のキャプテンだったからでしょうが、刀を振り上げた姿を載せるなど意外に『型破りの先生だったのか。』と思ってしまいました。
今は徳島大学整形外科の教授に就任されておられますが、上記HPの中に「私自身は小児整形外科、特に骨延長術の分野で世界を極めているつもりですが、」とありますように骨延長の第一人者として今後も仰ぎ見るつもりです。
2012年1月15日, 11:54 PM
昨日まで開催された日本創外固定・骨延長学会で、安井夏生先生の教育講演がありましたが、ここでも興味深い指摘をされています。
「Distraction Osteogenesisにおいては骨延長ばかりが注目されるが、同時に破骨細胞の機能が著しく亢進していると思われる。(中略)すなわち仮骨延長は著しい速度でリモデリングを受けていると考えられる・・・」
確かにそう思わせるものがあります。骨折の治癒で例えば長管骨が「くの字」に変形治癒しても2年くらいするうちに真っ直ぐな骨に変わって行きます。これは破骨細胞と骨芽細胞の両方の機能が旺盛に働いているからです。
私が嘗てこの日本創外固定・骨延長学会(当時は研究会)で発表した延長中のサーモグラフィーでの下肢温度計測でも、延長開始しばらくは延長部すなわち仮骨形成部の温度が上がっていたものでした。細胞の機能亢進の表れでしょう。
つまり脚延長とはチューンガムでも伸ばすように組織が単純に伸ばされるのでなく破壊と増殖を盛んに行いつつ増殖が勝り、骨においては全く上下の骨と同等の太さ骨を作ることが出来、筋肉・神経においても3割くらいは組織増殖を観るというものです(3年前の学会では下腿のヒラメ筋においては5割の増殖を観たとの報告もあります)。ですから2年前の学会の会長が学会誌の冒頭で「イリザロフ法は20世紀のノーベル賞・・・」と書かれていたのには、私も同意でした。
ただ美容目的で健常者の脚延長をやって確実な成績を出してくれるところは大阪のスカイ整形外科しかないようです。中国やセルビアなら安いからと渡航するのは冒険過ぎると思います。
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2012年1月13日, 8:19 PM
本日は創外固定・骨延長学会があったのですが、学会誌の表紙がモトローラフォンにようなデザインで、こういうのが流行りかと笑えました。
さて演題ですが、「ラット脂肪由来幹細胞移植による骨延長部骨形成促進法の開発」というのがあり、脂肪由来幹細胞(adipose-derived stem cells)は骨延長部の骨成熟を促進する」との仮説立てて注入した金沢大学整形外科の先生たちがいました。
結果は有意に組織学的にも軟骨性骨化の促進を認め、骨成熟促進に関与していることが示唆されたとありました。
この件は大変興味深くあります。実は骨延長部の仮骨部に幹細胞を注入しようという臨床医療は十数年前から行われているのですが、切った骨の上下から骨髄液が来るのだから、もうわざわざ腸骨あたりから骨髄性の幹細胞を移植するまででもないという意見と、いや、やはり意義があるという意見はぶつかっていて統一した見解を観ていません。
これが骨髄由来でなく脂肪由来なら、また違うのか??と私には思わせたのでした。
なおこの幹細胞の件ですが、美容外科学会ではキチンとデータも取っておらずに真似事だけで費用を上乗せしている医療機関があるとの批判も多々出ています。
2011年9月8日, 1:33 AM

鼻尖縮小術後にケアが悪いと写真の様に様に術後ギブスを外した直後は良い感じでも、後日は術前よりより太くなってしまう人がいます(リンク先下段)。
このことを私は以前に美容外科学会で発表しましたが、実は考えの根底にイリザロフ法があります。イリザロフ法は骨を増殖させて伸ばす手術で、骨の太さは健常部と同じ太さものが得れます。軟部組織は骨ほどでないにしても30~50%の増殖が見込めます。チューインガムを引っ張ったように、伸びたぶん細くなるのではないのです。これを整形外科学会で、「メカニカルストレスによる骨・軟部組織の増殖」などと言います。
写真の様に鼻尖縮小後、一時的には細くなったのに3ヶ月過ぎるころには、術前より酷く太い鼻になった人に対して詳しく経過を尋ねてみますと、かなり激しく自宅で使うギブスで鼻を締め上げていたのです。それも何回も。これは術後間もない炎症が落ち着いてない頃から激しいマッサージを毎日繰り返していたも同じで、良かれと思ってやっていたことが皮下にストレスを加え組織増殖を招いていたのです。これを学会発表の際は「ズレ応力による組織増殖」と言いましたが、本音は『イリザロフ法のメカニカルストレス同様の組織増殖の原理』と言いたかったのですが、整形外科に縁遠い先生には唐突な言い回しに聞こえるでしょうから、無難に喋りました。
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2011年9月5日, 2:52 AM

イリザロフ先生に骨はイリザロフ法で何センチまで伸びますかと尋ねたら「何センチでも伸びる。」と答えたという話があるのですが、これは事実です。ですが通常は軟部組織が延長に付いて行けなくなるので、若い人で大腿5cm、下腿5cmくらいかな。などと言います。これがAchondroplasia(骨軟骨形成不全)という病気の人ですと骨だけが問題で軟部が余っていますから、私が久留米大学整形外科在籍時の症例でも16cmも脚を伸ばした患者さんがいます。
先日の研究会でも夜間の討論会で若い女性の症例(片側脚短縮)に「できれば23㎝伸ばしたいです。今、大腿骨だけで12cm伸ばしました。」との報告と質疑応答があり、無茶するなよ的な発言をさせた先生は、「そのうち股関節脱臼を起こしますよ。筋肉も全部切って膝もデーゼ(固定)して棒脚で伸ばすしか目的は達っせんでしょう。棒脚だ、棒脚。」とも言われたのですが、共同演者が「いや、この女性の軟部はかなり軟らかいので、できるだけやってみます。また来年経過報告します。」などと言われました。
美容外科クリニックでは以前は大阪のメガクリニックが脚延長をされていまして、実際に下腿5cm、大腿3cm伸ばされた方が、当院に別件で来られたことがあり、詳しく脚延長の経過を聞くことも出来ました。まず下腿5cmを何の問題もなく伸ばせ、半年後には走れるようになり、1年半して大腿を延長開始したのですが、膝関節拘縮が生じ膝が十分曲がらなくなってきたので、3cmの延長で中止されたとのことでした。下肢の筋肉は2関節またいで付いているものが多いので、先にやった下腿延長で、後の大腿延長の際、軟部の延長に制限が出たというところです。
ですが高柳先生も学会で言われていましたが、「下腿を伸ばした方がカッコイイ」ものです。
この脚延長が美容手術として普及できるかは創外固定器の装着期間をできるだけ短く出来るかに掛っており、先日の研究会で招待講演されたポルトガルのロペス先生(ロペス元大統領の息子)も伸ばしたら髄内釘に横ネジを刺し創外固定器を外すと言われており、昨年出席されていたスカイ整形外科の柏木先生も「それもやるにはやります。」と言われていました。そして私、木村も平成6年当時からそれを言っているのですが、昨年柏木先生から横ネジが全荷重に耐え切れず折れるので、むしろ創外固定器の装着のまま骨の成熟を待つ方を勧めていますと言われ、『確かにそうだな。』とは思いました。私も大腿、下腿の骨折での髄内釘+横ネジで患者さんが免荷を守らず横ネジが折れて、この抜去に苦労した経験があります。
この骨延長が美容目的で発展できるか否かは髄内釘の更なる高度化(最初から最後まで創外固定を使わないアルビジアネイルも含め:頁下段)を待つところです。
2011年9月3日, 5:22 PM
今、日本運動器再建・イリザロフ法研究会の会場で丁度、休憩時間ですので、ちょっとブログで中継します。
整形外科医でもある私にとって、この研究会は毎年出ていますが、参加して楽しくあります。それは学会というより発表症例の診断と治療への遠慮無き自由討論会という感じで、参加者は所属大学は違っても、志を同じくする知人医師たちが集まって本音で自分の意見をブツケ合うという感じで熱いからです。年配の先生などは、他大学の先生に対しても前々から知って気心が知れてるからでしょうが、友人に意見する様な平易な喋り方もしますし、オカシナな話が出てば会場内で爆笑に包まれます。
美容外科医師の立場の私にとって直接役に立つ話は腐骨の扱いをどうするか?、骨軟部組織へのメカニカルストレスはどう働くのか?などに限られますが、整形外科は形成外科を生んだような科ですから、炎症とか感染の診断と対応とか間接的には自分の今の医療に役立つ話もそれなりにあります。
ただこの学会に参加したくなるのは直接・間接に役に立つというより、参加して楽しいからというのが本音の動機です。本当に熱い研究会で、さっきも某先生が「今日は23時まで徹底討論会です。」と言われたように、夕食会の後、まだまだ症例検討・討論会が続きます。
(追加)食事は1時間位で切り上げ、食事会の会場がそのまま症例検討会場になりました。発言も長崎の先生が東京の先生に「竹ちゃんは、そこまでやりますか?」などと発言は和気あいあいながらも、「もっと注意深く見るべきです。これは実は内顆も外顆もローテーションして変形治癒しています。ですから関節軟骨まで切りこんで整復し内顆から合わせる・・・。」などと難治症例のオンパレードで頭を使い非常に意義深くありました。また凍結保存骨・軟骨について良い話が聞けました。尚この分野は私が整形外科医として最も得意としていた分野で経験豊富でしたから、今でも実践投入されればキッチリ役目を果たせる気がします。