女性医師をどう育てるか3・・・私の想い

私の医学部の同級生に、成績優秀で性格は穏やかな女性がいました。そして卒後に私もよく知る先輩医師と結婚しました。そして十数年前ですが同窓会名簿を見ましたら彼女の勤務先が「●●●介護老人保健施設」となっていました。更に後年、その地区の同窓会の写真に夫と十代前半位の子供と一緒に写っている彼女を見ました。その時、私は彼女は医師であるよりもお母さんや奥様である事を優先したんだな。と思いました。
先日の形成外科学会で私がフロアーから発言した事で、翌日あのワーキンググループの女性医師から学会会場の廊下で呼び止められ「木村先生、私たちのグループに入りませんか?でもあの発言は最初にお膳立てをちゃんと言っておかないとダメ。最初の発言では皆『キー(怒 )』ってなってましたよ。それとあの発言は時期尚早よ。」と言われたので、私は「何でですか?世間の保育所の整備だってなかなか進まないのに採算のキツイ病院側が十分な保育所やベビーシッターを用意出来る訳ないですよ。夫婦とも医師なら経済的には余裕もあろうから自腹切ってやるしかないじゃないですか。」と答えたものの、『時期尚早』の本意が聞けず仕舞でした。
でもあれは人間の心理の意味で時期尚早と言われたのかな?と思いました。あの会場での私の発言、「(子供から見て)お母さんが2人居る」というは、実の母である女性医師から見れば、お母さんとして子供に出来るだけ接したいのに、それをベビーシッターに代行してもらっている。それが辛くあるという事です。ベビーシッターが愛情深く子供に接し、子供もその人を真に慕っている姿を見たら、「その役は私にさせて!! 医師の勤めは2の次!」そう叫びたくなるものだと思います。(続く)