女性医師をどう育てるか5・・・キャリアアップと妊娠・出産・育児の両立は無理

今年の形成外科学会総会の参加で長崎に来ています。昨年「女性医師をどう育てるか」というシンポジウムがありましたが、今年は「女性医師のキャリア継続のために」との題名で口演と討論がありました。
私は聞いていて、一番印象深かったのは、「キャリアアップを目指す中で女性として生きる難しさ」の演題で、演者の先生が語るには「・・・医学部卒業後、仕事に、研究にと励み専門医と学位を取り終えた時に34歳になりました。そこから妊活に入りましたが、なかなか妊娠できません。途中から不妊外来に通うようになりましたが、37歳になった現在、不妊外来の医師から妊娠は難しいですと言われるようになりました。私は母になれる喜びを得られないかと思うと、仕事と研究を優先してきたことを後悔しました。キャリアアップは何歳になっても出来ますが、妊娠できる年齢は限られています。キャリアアップより妊娠・出産を優先すべきでした。』このような内容だったのです。大学で講師兼医局長をしている立場の人が公にここまで言われたことには驚きました。そして討論の際は、先に口演した3人の既婚・子持ちの女性医師3人も『妊娠適齢期を逃さず、キャリアアップより妊娠・出産を優先すべき』で皆、意見が一致してシンポジウムが終了していったのは絶句でした。昨年のシンポジウムは、キャリアアップと妊娠・出産・育児をどう両立させるかとの基調だったのに、今年は“両立は無理”との現実話になったからでした。