JSASの美容外科学会は脂肪吸引では百花繚乱

 何故「上腕の脂肪吸引」が美容外科学会誌への投稿依頼に選ばれたか?それは確かに内容が優れていたとも思えるのですが、別の見地で考えるのは、2つの美容外科学会の演題発表での大きな差異です。全演題数の中の脂肪吸引の比率は圧倒的にJSASの方がJSAPSより高いのです。形成外科手術とは殆ど直視下の手術です。しかし脂肪吸引はBlind Surgeryとして全く趣きが異なります。そのためでしょうJSAPSの学会では脂肪吸引の発表は極端に少ないですし学会誌への掲載論文も僅かです。その点、JSASでは学会の顔として日本に初めて脂肪吸引を伝えた高須先生とその門下の先生達、そして日本における脂肪吸引外科学の巨人、周哲男先生(右画像:故人)がおられ、発表も多いし学会誌にも脂肪吸引の論文は百花繚乱で、私の「上腕の脂肪吸引」の投稿依頼はJSAPS側の学会誌の中でバランスを取っての事もあるか?と思っていました。
脂肪吸引の開祖はフランスのフルニエ先生とイルーズ先生で、共に1977年に現在の脂肪吸引スタイルの原型を発表されました。そしてフルニエ先生は実はイタリアのフィッシャー先生から教えてもらったものだと言うのですが、この3人とも形成外科医ではありません。イルーズ先生は元々産婦人科医です。
四肢・ヒップ(尻)・背中の脂肪吸引は元々整形外科医、腹の脂肪吸引は元々消化器外科医が担当すれば、熱心にやってくれるものと信じます。この部位の脂肪吸引は術者は立ったまま延々と体力勝負を余儀なくされますから、その部位に愛着がないと手抜きになってしまいそうです。以前、脂肪吸引の手術が終わった後、ヘトヘトになった私は時々言っていました。「(労働が激しくて)こっちの方が痩せてしまいそうだよ。」=続く。