聖闘士星矢の車田正美 ④

聖闘士星矢3 本日、自伝的漫画第3弾を読みました。またまた絵に関しては全くダサい絵です(画像は1週目のもの。背景は過去の車田さんの珠玉の作品群)。

星矢では、美しく煌きがある絵も多いですから、それに魅了された女性ファンは多くいるそうです。今回の少年チャンピオンでの連載を、ファンの女性たちの中にも心待ちにしていた人も多いと思います。しかし車田さんは今回、媚びることなく素の自分を書いている感じです。

今週号では、若き車田さんが、あるオジサンと出会います。その人は漫画家を目指し投稿作品を描いても15年間不採用でした(フィクションでしょう。連載開始時に前置きしていますし)。そのオジサンから車田さんが聞かされた言葉が私には印象的でした。
「マンガは絵じゃないです」「マンガの命はネームです」 「同じストーリーでもコマ割りや見せ方 展開の仕方によって面白くも つまらなくもなるものです」「絵が上手いに こしたことはありませんが やはりネームが命です 」

ネームとは私たちが見る漫画の原稿の、ペン入れする前のセリフも入った鉛筆描きです。ここまで来れば後は粛々とペン入れ(インクで描く)すれば良いとも言えます。

すると漫画家はネーム作りに多くのエネルギーを注ぎ、ペン入れはアシスタントに出来るだけ任すという人が居て良いとなります。その1人は本宮ひろ志さんです。彼は「アシスタントを使って完全な分業体制にしており、自分がペンで描くのは顔だけ。それも女性の顔は家内(もりたじゅん)に描いてもらっている。そうしてネーム作りに最大限時間を割く。」このように、私の記憶では昭和55年の誌上で述べています。絵柄的には昭和50年~連載の「俺の空」あたりから、それに徹しているように思えます。 本宮さんは同じ時期こうも述べています。「(自分は) 漫画が好きで漫画家になった人たちとは違う。一発当ててやろうと、山師的な発想で漫画家を志した。」・・・なるほど、だから会社組織のように出来るのですね。

しかし私が本当に好きな漫画家とは、やはり顔だけでなく、主人公・脇役まで全身+アルファを描く人です。且つ、感性に響く絵を描ける漫画家には「ネームも大事でしょうが、1枚の絵に感動を覚えました。」と賛辞を送りたいです。そういう漫画家とは具体的には、江口寿史さんがいます。そして車田さんもその1人と言って良いかも知れません。