3ヶ月間だけ入れるシリコンの色まで頑固に譲らない 【死ぬと言う患者⑱】

(以下、やりとりの抜粋)
*12回目の手術前
木村:今度のプロテーゼの入替の際、プロテーゼはJ型もしくは、鼻先まで来るI型を入れる必要があると思います。鼻先に高さを出さないと鷲鼻に見えがちで、
彼は:鼻先まで入れるのは、軟骨移植の際に先生がスペースがありやりやすいと言う事なので短期間(3ヶ月)と限定しているなら了承する
木村:再手術は非常に難しいです。鼻中隔延長や鼻尖縮小の繰り返しは鼻のダメージが大きく、1回でどこまで治せるか分からないです。ただそれをやってまた期間を空けて再度再手術を行っていけば、かなり良くなるものと私は考えています。
彼は:そんな未来がないなら、もう死を受け入れる。前にも話した通り、弟が修学旅行の日に自殺しようと決めて生きている間にできる限りの準備をしている 先生が弱気な状態で手術を受けれる程の精神状態ではない
木村:弱気ではなく、○○さんの手術には不確定要素が多く、経験的に、狙った通りにピタリとは行かないだろうと予測するのです。
彼は:無駄になってしまうが、プロテーゼはナンパターン(←原文のまま)か用意してほしい
木村:用意するプロテーゼは脚を付けたままにしておきます。それは鼻先の皮膚が硬過ぎて今は脚に頼らないと鼻先が上がらないかも知れません。つまりL字型を入れるかも知れないという事です。
たび重なる激しい手術で鼻先の軟骨の支持性が弱まっているのに加え、皮膚は拘縮で延び難いと観るからです。

*12回目手術後(この時のプロテーゼで色合いは鼻中隔・鼻翼軟骨と同様の色でSmogとの呼称の物です。大気のスモッグ様です。)
彼は:透明プロテーゼにデメリットはないのか 中々透明のを入れてる人は聞いた事がないのでブラックライトで光ったり何かしら白いプロテーゼでデメリットはあるか
木村:透明に近いものもデメリットは無いと考えております。○○さんに使った数々のプロテーゼは先の部分は透明に近いものです。特に色合いを気にされたことは無かったのではないでしょうか。ブラックライトに光るのは白色で、歯や白い服が光ると聞きます。だからと言って白いプロテーゼが危ないとは聞いたことがありません。
彼は:ブラックライトで光るなんて絶対ありえないし透明プロテーゼは嫌だ
木村:そんなことは無いです。もう他院様のを何本も抜いて来ました。
彼は:なぜ透明のにしたんですか
木村:物がないから無理です。(当院のシリコンプロテーゼは普通よりやや大きい物迄は鋳型製造の白色と決まっている物を納品していますが、巨大なものは他業者から韓国製の手作りの受注生産品を納品しています。その韓国メーカーでは圧倒的に色はSmogで作っているそうで、理由は鼻の軟骨と同じ色だからと聞いています。しかしFlesh(と真っ白)でも製造しています。)
彼は:入替だってすぐのほうがいいんじゃないですか
木村:早くはやらない方針で診療しています。
彼は:魔女のようになっている 垂れている鼻を上にむけ短くしたかったのに今のとこ全然違う 鼻中隔延長したときみたいに前にでている
木村:またも魔女ですか。手術終了時に、魔女に見えるようには私にはとても思えなかったです。○○さんが今は昨年●月●●日の(初回)手術後の鼻の形に戻したいということを言われるのを考えると(高く、太く、長く、下げる ⇒ 程々、細く、短く、上げる)、どう対応すれば良いのか悩んでおります。
彼は:もう不安で寝れない
木村:業者の元に在庫品がありません。また受注生産して日本に届くのに2週間ほど掛かるそうです。そのため特注白色で納品したクリニックに尋ねて何本か頂いてくれるように強く頼みました。(これは業者に貸しを作る事になり、後日言い値で物品を購入しています。彼には言ってません、彼の知らぬ事です。)
彼は:明日中にプロテーゼが届く可能性はあるか?早めに連絡下さい
木村:難しい気もしますが、26日は3ヶ月前から決めているクリニック総出の行事があり、これは院外関係者も絡んでいて中止に出来ません。ですから手術が出来るのは27日以降になると思います。
彼は:できるだけ早い方がいい 27日にお願いする(12回目の手術から6日後)
木村:今、一旦診療所に戻ったら(23時)、業者が指定通りポストにシリコンプロテーゼを入れてくれていました。白です。これで良いのですが、1本しか手に入らなかったそうです。複数用意するなら韓国から受注生産で2週間くらい先になります。
彼は:その手に入った一本で大丈夫か?この鼻筋を改善できないならもう変形は治せないと言うことだ もう死ぬしか道がなくなる
木村:大丈夫とまでは言えません。通常の定型的な手術では慣れていますから、手術中にプロテーゼはいつものように削って挿入し、1本で済むのが普通です。しかし定型的でない手術では、1本目のプロテーゼの削りでは挿入した時、違うと見て、2本目、3本目と削って入れたことは何例もあります。
彼は:変形した鼻筋が治らないならもう死ぬという決断にするしかない 治して下さいよ

*13回目の手術・・・それは傷んだタイヤのゴムのようになっている鼻に相当な厚みのプロテーゼを入れて形を変える手術であり多大なリスクがありました。術中に拘縮した瘢痕が裂ける(鼻が破れる)、支持性を失った軟骨が加圧で破綻する(挙上出来ない)、皮膚軟部組織の血行が途絶するか虚血に陥る(後日壊死)、創縫合すら出来ない(力づくの縫合では創縁壊死・哆開して感染)等という超々難関手術でした。