美容外科をやってX線被爆せずにホッとした自分が恥かしい。

整形外科医の被爆 整形外科医は骨折部の整復のため、X線透視を多用し、私も前腕~手はかなりのX線を浴びてきました。人体の中で甲状腺や生殖腺はX線被爆に弱いのに反し、四肢は問題が生じ難いとは分かっていましたが、やはり患者さんの骨と同時に自分の前腕~手の骨がX線の持続照射で画面に映っていると、この自己犠牲は辛いことだが仕方がないと観念していました。
 ところが当初の志し通り美容外科の常勤となり整形外科は非常勤となった後、滅多な事では私の腕がX線を浴びることがなくなった時、ホッとする思いをしたことがしばしばありました。
 しかし今回の原発事故の放射能漏れを受け、政府のお偉い様方が作業員の作業を強いるために許容被曝線量の上限を、100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げたのですが、そんな理不尽さにも関わらず、多くの作業員の方が復旧作業に従事しているのを読むと、「NO!」と言って立ち去らないのに感銘を受けました。皆、戸惑いはあったと思いますが、個人より皆を、日本を思っての行動なのだと思います。やはり大和民族だと思いました。これはプロイセン的美徳と同じですね(戦前のドイツ人は日本を色んな意味で「東洋のプロイセン(Preußen)」と呼ぶことはありました)。
 医療への雑感のブログで2月22日に「西欧とは違う中欧の論理」と書きましたが、戦後、日本も獨・墺も民主主義国となったとはいえ、己だけでなく周囲、地域、国を大事に思う観念はまだまだ残っているし、それは尊い事と思います。だから今、世界の人々は日本の大震災で、人々が暴動や略奪に走らないのを驚嘆しています。