大学病院医師の鑑定書は不当であり添付資料が裏付けになっていない

大学病院の医師が裁判所から選ばれた鑑定医となったが、専門分野を調べると血管外科では全くの非専門医だった。
一般に医師は鑑定人になるのを多忙や責任大きさから躊躇することも多い中で、この医師が鑑定事項を見れば尚のこと躊躇し拒むべきところ何故受けたのか?立場上のことで致し方なく受けざるを得なかったかもしれない。
大学病院医師の鑑定書 表紙 ↑ 鑑定事項は原告被告双方の意見を聞いた上で裁判所が決めるが、鑑定事項1とは初めから、本事件での局所麻酔単独・日帰り脂肪吸引で「脂肪吸引を行うと静脈炎、血栓症及びこれに由来する血栓塞栓症が生じる」のを前提としているが、これは被告医師が有り得ないことと真っ向から反対した鑑定事項である。
仮に全身麻酔・広範囲の大量脂肪吸引で入院になったところで、術後に静脈に沿う血管に沿って静脈炎の症状としての赤い線状の外見所見や血管痛は臨床的に見ない。これも被告医師は主張し鑑定事項に入れることに反対している。
また脂肪層を走る表在静脈が吸引管で物理的に突かれることで表在静脈内に微小血栓が出来たとしても、これは深部静脈血栓症とは無関係であり、それに由来する肺血栓塞栓症が生じることもない。
鑑定事項2と3は、この1で「予見できた」としない限り成り立たない設問であるので、誘導尋問的であり齋藤隆裁判長の決定した鑑定事項は、被告医師が有責となるのを狙っているように見える。 大学病院医師の鑑定書↑ 2頁中段で「(肺)動脈血栓塞栓症の起因静脈~表在静脈が原因となることがない訳でなく」とあるが裏付け資料1、28、31に、その記述は無い。
裁判官の問題は鑑定書は読んでも裏付け資料は医学文献だから読まないのが普通。だから資料1、28、31は嘘の箔付けに使われたのである。 大学病院医師の鑑定書 ↑ 冒頭で前検査として血液学的検査、胸部レントゲン検査を重要と鑑定したが、これを被告医師が設備も無かった中で出来なかったこと以前に、問診上健康であり下瞼外反でヘマトクリット値は正常が見込めたら、省いて良いのが局所麻酔単独の太腿内外の脂肪吸引の臨床である。
鑑定で重要として被告医師の過失と見做させる指摘は如何なものか。
  中段で「仮に血栓塞栓症の発現が予見できたとして」自体を本事件で書くこと自体が鑑定として間違っている。
当時、世界中の文献をみればメガ・リポサクション(1回に10,000cc以上脂肪吸引)も盛んに行われ出していたが、全身麻酔・入院(安静による不動)に対して本事件の900cc、局所麻酔単独・日帰りによる不動無しでは、深部静脈血栓が生じるか否かの点で全く違う。後者では起こり得ない。 大学病院医師の鑑定書↑  冒頭の文章に対してだが、この鑑定人が脂肪吸引を多数経験(被告医師のように殆ど毎日)や血管外科の造詣が深ければ下記が書けた。
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「本事件で下肢深部静脈血栓が発症などしていない。乙11で剖検医が下肢深部静脈である「④大腿静脈と下腿静脈に特記することはない。」と回答したように。つまり鑑定事項自体が間違っている。
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このようになった筈である。 大学病院医師の鑑定書↑ 冒頭の「ヘパリン、ウロキナーゼ、プロスタグランディン、FOY」などの注射を常備している美容クリニックは無いに等しい。且つ診察希望の脚の捻挫を診たところでレントゲンもエコー(超音波診断器)も何もない中で、捻挫での靱帯損傷の有無くらいの診察以上のことは出来なかったはずである。元より下肢深部静脈血栓がないのであるから。
  下段で「まず診察を行うべきであった。」とは、予約手術中の医師が仮に手術を放り出しても捻挫を診ることであるが、予約手術中の患者はどうなのるのか?真摯な鑑定とは思えない。 大学病院医師の鑑定書 ↑ 太腿内外の脂肪吸引をして、しばらく患部の痛みを感じるのは普通である。上腕の吸引と違い、心臓より下位のため鬱血性の鈍痛が続くからである。なお患者は6日前(術後15日)の整形外科の診察時には太腿の痛みを訴えていない。時期的に消退した頃にあたるが、この整形外科のカルテさえ見ずに鑑定と思われる。
逆に下肢深部静脈血栓が不動による静脈鬱滞から起きる時、エコノミークラス症候群で言われているように下肢の「痛み」はない。
  4行目の「腫脹がその治療法(脂肪吸引法)に関連のある血栓塞栓の一症状」などと書くが、患者からの下肢の腫脹の訴えがないから、裁判書面に一通り目を通してはいないことも分かる。
  鑑定書が普通で無いことの理由に医師の間でよく言われる『大学病院の医師は街の美容外科医に対し、時間給の高さや診療スタイルで反感が多い。』というのが背景にあったのかもしれない。