二重整形・埋没法
美容整形で一番多い手術は二重埋没法といえるでしょう。メスを入れない術式のため、腫れも少なく手術も短時間で済みます。縫い止めている糸を外せば元に戻ることも利点の一つといえます。
症例画像
埋没法:2箇所でも目頭側に僅かに幅が出ました。

アイプチでも平行型が可能でしたので切開の適応は全くありませんでした。内側のツレは後々目立たなくなります。
埋没法:術直後の状態

蒙古ヒダが強く平行型が難しい症例です。しかし右は術後当日直後の画像で、まあ自然です(2箇所固定)。
脱脂+埋没法:抜いた脂肪と腫れが差引ゼロで大して腫れません。

寝起きに瞼が腫れぼったい人でした。腫れは3日過ぎると自然に近く、術後1ヶ月と大きく変わりません。仕上がりも早期から自然です。
術式の特徴
| 腫れ* | 3~5日 |
|---|---|
| 抜糸 | 必要なし |
| シャワー / 入浴 | 翌日 / 7日 |
| 化粧 / アイメイク | 翌日 / 3日 |
| コンタクトレンズ | 翌日 |
*腫れには個人差があるため、あくまで目安となります。
手術の解説
1. 二重ができる機序
一重(図左)と生まれつきの二重(図中)は、挙筋や瞼板前組織から皮膚側に達する線維組織の有無の違いがあります。そして挙筋の収縮は線維組織を通じて皮膚側へ力を伝達し二重ができるのです。
2.埋没法による二重ができる機序
埋没法は上記原理を踏まえ、極細の糸を埋没させることで線維組織の変わりとし、挙筋の力を皮膚側に伝え二重を作ります。ですから出来栄えは極めて自然なのです。
3.埋没法のラインが取れる機序
埋没させる糸は細くても専用に作られているもので容易には切れません。埋没法のラインが後に取れてしまうことがある原因の大半は埋没糸が引っ掛けてある組織が間延びして、挙筋の力が皮膚側に伝わらなくなったためです。
この背景には以下の要因があります。埋没糸は切れなくても結びが解けて糸が取れることは有り得ると思います。
- 皮膚がアトピー性で固く二重のラインの形成に抗するので皮下組織が間延びする。
- 眼瞼下垂で皮膚が眉側に引っ張られ二重のライン形成に抗するため皮下組織が間延びする。
- まぶたを擦るクセで徐々に埋没糸が掛けてある組織が間延びする。
- 医師が支持性の弱いところに糸を掛けているので間延びする。
4.二重になると、なぜ目が大きくなるのか
たとえ作る二重の幅が小さくても、二重のラインの折れ目に皮膚がたくし込まれることで睫毛が下向きから外向きになるのと瞼列(瞼の開き具合)が大きくなるから、明らかに目は大きく見えます。しかし、狭い二重を広い二重に再手術した際は、この睫毛の外向きと瞼列開大は期待できません。
5.まぶたのキメの流れとできるライン
二重の形は自由自在に作れるものではなく、制約があります。右図のようなキメの流れに沿ってできるものです。ですから、白人のように目頭側をやたら広い様にすることは埋没法単独では無理と考えて下さい(目頭側でのZ形成術で可能)。
6.できあがる形
上記キメの流れに沿った形でできあがるので、狭い二重は末広型(目頭側でラインが内に入る)、少し広くなると目頭に近いところで二重の幅が見える末広型、そして広い二重は(目頭側でラインが外にでる)傾向にあります。この平行型はよく見るとキメのツレがあるのが普通です。
7.まぶたのタルミ(たるみ、弛み)
加齢に伴い皮膚が被ってきますが、通常目頭側はあまり被ってきません。黒目の上から目尻にかけて被ってきてその部位が一重のように見えてくるものです。
8.埋没法でのタルミの改善
被っているところに二重の幅を拡大するように埋没糸をかけると図のように改善します。但し厳密にはキメの流れの違うところでラインを作るようにするので、不自然にしないために、あまり大幅な改善は望めません。
9.2点留め、3点留め、4点留め
2次元では2点が決まれば線が決定されるように、埋没法も2点で固定すれば線が決定されます。
しかし3点留め、4点留め等もあります。 一般に留める箇所が多いほど固定性は強いものです。
10.○点留めの横断面
埋没糸が入っている部分の横断面で見て、結膜側から皮膚側に糸が貫かれている箇所が何箇所かで2点・4点と呼ぶ場合と、とにかく皮膚に何箇所針孔を開けたかで何点と呼ぶ場合があります。
一般の美容外科では点で留めるより線で固定しようということから、留めた箇所同士を糸でつないでいることも多いのですが、この際、上の絵のように一度出して埋没させると針孔の箇所は増えますが、ギリギリ出しそうで出さずに通糸した場合と固定力は変わりません。
11.2点留めは狭い二重、成り易い二重
奥二重、末広型の二重は埋没法で作り易く取れ難い傾向なので、2点留めで行われることが多いものです。
12.3点留め、4点留めは広い二重、成り難い二重に
反対に平行型、広い二重は埋没法で作り易く取れ難い傾向なので、3点留め4点留め等で行われることも多いものです。
13.脱脂+埋没法の重要性
一重の時、それほど腫れぼったいまぶたに見えなくても、二重にすると腫れぼったさが目だってくる人がいます。上まぶたの中~外側にかけてが腫れぼったく見えるものです。
14.脱脂しないで埋没法を行うとどうなるか
脂肪が二重に瞼になるとたくし上げられて、術前より膨らみが増します。 また膨らんだ脂肪は特に朝起きた時など更に膨らみ、埋没糸が固定している部分を圧迫し、同部の組織の間延びを生じ緩みを生じます。これは二重の線が浅くなったり消失することに繋がります。
15.脱脂とは
通常、作りたい二重のライン直上の針穴の太い程度の1~2mmの穴をあけ、そこから顕微鏡手術用の摂子(ピンセット)を入れ、脂肪を抜く手術です。
16.脱脂の穴の位置
右図の様な位置となりますが、普通は外側のみで済むことが多いものです。
17.手術後のケア
当日は頭を高くして良く冷やしてもらいます。
なお化粧、コンタクトなど翌日から可能です。
料金
表示金額は税抜き価格となっております。
よくあるご質問
医学コラム
埋没法手術のアプローチ
昭和50年代までは、二重と言えば切開法が主流でした。そして敢えて切らないとなれば糸でまぶたを貫きビーズで留める「ビーズ」法が行われていました。ただビーズ法はとてつもなく腫れる手術で主流にはなり得なかったものです。しかし昭和60年代以降、メスを使わない二重が主流になり大ブームになりました。それは傷跡が残らす自然でキレイ、しかも切開式に比べ腫れが圧倒的に少ないという画期的なものだったからです。しかし、埋没法は技術を要し糸だけで二重を作るには手間がかかりますから、現在でも埋没法を主流としているのは日本がメインで、同じアジアで切開式二重しか行わないところも多いようです。また、埋没法は糸を取ればまた元に戻せるというメリットがあります。
埋没法式二重の糸
髪の毛よりも細い医療用の糸を使用します。この糸はとても丈夫で少々引っ張っても切れないように出来ています。
腫れの少ない埋没法
麻酔は患者様の負担を考え、目薬と局所麻酔の注射で行います。麻酔の針は新生児用のとても細い針を使用する為、刺した時の痛みも殆どありません。埋没法を「クイック二重」と呼ぶクリニックもありますが、確かに早く行うことも出来ますが手技が乱暴になり腫れる原因になります。当院では埋没法に最低30分の時間をかけて確実丁寧に行います。希望するラインにもよりますがナチュラル整形レベルなら術直後から全く自然な仕上がりです。
埋没法の弱点
埋没法とは、「二重になるきっかけ」を作る手術で自由自在に思い通りの二重を作れるというものでは有りません。その人が持っているまぶたの「キメ」に沿って二重を作ります。キメに逆らうことは基本的に出来ないのです。また、日本人は蒙古ヒダの影響を受けやすく、今流行りの平行型二重を希望される場合埋没糸を何本か追加する場合もあります。 埋没法は二重のきっかけを作る手術なので人によってはラインが浅くなってしまったり、元の状態に戻る場合があります。私は基本的にメスで傷を作るのは最終手段と考えていますが埋没法でどうしても無理な場合は切開式二重をお勧めしています。
埋没法の合併症
埋没法を行う際、糸の結び玉を上手く「埋没」させないといけないのですが、その技術が難しくクリニックによってはメスで小切開を入れて埋没させる所もあります。その際小さな切開跡が残りそこがいつまでも赤くケロイド状になってしまう場合があります。また、クリニックによっては手術後強い消毒薬を処方し患部に塗らせ薬品焼けを起こし傷がいつまでも治らず腫れが長引いたり、まぶたの裏に糸を出しっぱなしにして眼球に傷を付ける所もあるようです。患部に炎症が長引くことや傷がふさがらない事は化膿の原因にもなります、実際当院で他院の埋没法で化膿し、糸を抜糸したケースが何件かありました。当院ではメスは使用しません。糸はまぶたの裏に出しっぱなしにしません。強い消毒薬も処方しません。本当にミクロの世界で「埋没」させているので余計な薬を使用せずとも自己治癒力で自然に治ってしまうのです。






