アゴ骨切り・アゴ骨削りはオトガイ神経麻痺のリスク

オトガイ神経孔(頤神経の骨からの出口) 写真の針金の先端は、下顎骨の模型に穴の開いている場所を指していますが、これがオトガイ神経孔と言います。エラの上の部分から下顎骨の中に入ってきた神経は下顎骨の中で下歯槽神経管の中を通り、オトガイ神経孔から顎や唇の知覚神経として感覚を司ります。
 アゴ骨切り・アゴ骨削りの際、電動ノコギリやノミの操作でオトガイ神経を切断してしまえば、神経学的に唇や顎先の皮膚の固有支配領域の知覚はゼロになり、放置で完全に回復することなどあり得ません。
 神経切断は直接ノコギリやノミの刃で起きる事もあり得るでしょうが、術中の筋鈎での術野の展開で無理に広げ過ぎて神経が牽引により引きちぎれてしまうこともあり得ます。この場合、オトガイ神経孔の付近で切れてしまうことが多いと言われ、切れた神経の端端縫合が難しく、担当医師はオトガイ神経孔付近の骨をノミで割って中枢端を露出し、端端縫合を行うことになります。
 またオトガイ神経が切断されなくても、手術中は術野の展開のため、神経が牽引でダメージを受けるのは、下顎骨の側方削りを行う際、大なり小なり生じるものです。ですから、キチンとアゴ骨切り・アゴ骨削りを行った後は、一時的とは言え軽い麻痺は生じます。