誇張されたニュースに怒りを覚える

ピクシーダスト←クリックして拡大して見て下さい。ニュース記事で「つけるだけで切断された指が再生!?「妖精の粉」と呼ばれる驚きのパウダー」http://nanapi.jp/114676/というのを読んで怒ってしまいました。
それはDIP関節(第一関節)より中枢側を紐で縛り、いかにもここで切断された様に見せているからです。記事にあるスピーバクさんとは白人男性でしょうから、指先から1cm余りならば、まだ爪の根元まで損傷しません。もちろんDIP関節も無傷です。これならば単にワセリンを塗っておくだけで指は再生されるのです。漫画家、岩明均氏が名作『寄生獣』の巻末で、自身に同様の切断があったのに指が再生し「寄生獣だ。」と驚かれていましたが、整形外科医なら当たり前の如く治療経験があるものです。私の場合、昭和63年に「軟膏+アルミホールキャップ療法」とオーベンの医師から指導を受け、翌年外来で、若い男性で指先の甘爪で切断された人をこの治療法で治して大変感謝された覚えがあります。いわゆる湿潤療法です。しかし爪の中枢端まで失われれば、もう爪は生えませんし、DIP関節を損傷すれば粉を付けるだけで治る訳ありません。関節とは軟骨・滑膜・側副靭帯・伸筋腱&屈筋腱付着部が有り、複雑な運動器なのです。
このニュースの説明文では、この粉は「アメリカのピッツバーグ大学の研究室で開発されたもので」とありますが、載せている顕微鏡を覗いたフリをしている人は、日本人のオジサンに白衣を着せただけでしょう。指もヤラセ、オジサンもヤラセで、粉はニセモノです。本物なら滅菌のため手袋が必要で、超高価なだけに微量しか写せず、乳鉢乳棒で擂り潰すなど論外です。
粉は再生にいいとされるシグナルを刺激と説明していますがニュース記事では「日本では不認可」と書いています。しかしこのような成長促進因子なら日本ではbFGF製剤が広く使われていますので、このニュース記事で日本ではそのような治療が受けられないという誤ったメッセージを与えているので、読めば読むほど怒ってしまいました。