埋没法:挙筋法vs瞼板法

  4,5年位前から患者さんに「埋没法を挙筋法でお願いします。」と言われたことが何度かあります。私は「ああ、それでも良いですよ。元々私は最初の頃(s63年~)は、埋没法と言えば挙筋法でばかりやっていましたから。」と答えたりしていましたが、患者さんとよくよく話してみると、『挙筋法=瞼の裏に糸を出さない。』『瞼板法=瞼の裏に糸を出す。』と信じ込んでいる人が結構いました。聞けばネットの情報ではそうなっている等と言われたものです。
 インターネットの情報は間違っている事も結構多いですが、上記、挙筋法vs瞼板法は糸を裏に出すか出さないかの違いではなく、裏の掛ける位置が高くて挙筋のレベルになるか、高くなくて瞼板のレベルになるかの違いを言うのです。挙筋法でも裏に糸を出す先生もいれば、瞼板法で裏に糸を出さない先生も多いものです。もっとも 挙筋法も瞼板法も裏に糸を出したまま終わるのは良くない事と私は考えております。
 さて随分昔は、挙筋から来る力が瞼の皮膚表面に伝わり易くあるため挙筋法でやるべきだと思われていた時代がありましたが、実際はそうではなく瞼が表側と裏側で固定されることが二重のできる機序なんだと分っています。そうすると挙筋のレベルと瞼板のレベルでは瞼板のレベルの方が固定性がやや高く後々二重が取れ難い傾向ですから、今は美容外科の臨床医は瞼板上端レベルに埋没糸を瞼板に潜らせ瞼板前組織に掛けるような形で手術を行う事が多いものです。