鼻孔の変形には耳からの皮膚軟骨同時移植

鼻の整形手術ですが、当院は修正手術の人も多く来られます。掲示のモニター様ですが、他院で鼻尖と鼻翼の縮小術後に左鼻孔が拘縮を起こしたので、右のように治して欲しいというご希望で来院されました。これには耳介からの皮膚軟骨同時移植で形状を整えました(画像はクリックすると拡大)。鼻の変形に皮膚軟骨移植

通常、耳からの軟骨移植ですと、耳の裏または耳の穴にメスを入れ、皮膚切開・皮下剥離して軟骨だけ採取して移植するものですが、皮膚軟骨同時移植とは、メスで耳の皮膚と同時に軟骨層まで深く切り込み一塊に皮膚と軟骨を採取するのです。そして耳の皮膚は軟らかいので、そのまま皮膚だけ縫合するのですが、1週間後に抜糸では、採取幅が大き過ぎないかぎり傷が離開することもないです(採取幅が大きい場合は傷が開かないように私は真皮縫合を行っています)。

皮膚軟骨同時移植で恐いのは皮膚壊死です。移植皮膚の血流再開、つまり移植した部分からの新生血管が伸びて移植組織に入って血流再開するまで4~5日掛かるもので、その間は「プラズマ循環期」と称するのですが、組織液から辛うじて酸素と栄養が移植組織にを供給されるものですから皮膚が一過性に虚血状態に陥り、皮膚が部分壊死することはあります。でも斑に生きている皮膚があれば結局は壊死部分は上皮化されます。ただ拘縮を起こすので、上手く皮膚壊死せずに生着した場合より治療成績が悪くなります。軟骨は虚血に耐えて生きていけるのでまだ安心なのですが、術後半年まで診ていると少し萎縮してボリュームダウンにはなるものです。

私は鼻のプロテーゼ単独手術もよく行うのですが、薄目に加工したものを挿入すると、その人の持ち味を残しつつ自然に鼻筋がとおるものです。プロテーゼ自体に壊死や拘縮はない訳ですから、こういう手術ですと、術前に狙ったとおりの結果がほぼ出せます。

ところが他院再手術、それも生体組織(皮膚・軟骨)を移植する手術、また大きな変化の希望などは不確定要素も高いですから、相当気を使ってやっています。
そして術後は祈る気持ちです。そんなことだから私は時々「医療は最後は宗教に行き着く・・・。」と言ってしまいます。