顎骨切りミニVライン形成

顎が大きかったり幅が広かったりすると女性らしくありません。
ですから患者さんの話していて、「顎先をキュッと尖らせて顎を華奢にみせたい。」とか「Vのような形にしたい」とは、よく聞きます。顎骨削り・骨切りのVライン形成
画像は術中写真ですが、顎の真ん中は長さを短めに削りつつ、そして尖らせるためには、オトガイ神経(画像で骨からラーメンの麺みたいに出ています)のスレスレ下の下顎骨縁を切り上げて骨切りします(画像が上下逆さまなのは術者目線のため)。
この症例の人はエラの部分はそのままが希望だったので下顎角の手前までの削りです。
下顎角も含めて切り上げたモニターさんはこのブログの人となります
エラの部分は削らずに顎をVのようにする手術をミニVライン形成術という医師はいますが、良い表現と思います。耳たぶの直ぐ下の顔の幅は変わりませんが、リカちゃん人形的な可愛い感じに仕上がります。

骨を良い形に削り終えたら、手術の最初の方で骨膜下に剝離したオトガイ筋群を前に引き出して骨に括り付けるのが大事です。この手技に異を唱える医師もいますし、実は私も昔はそれに否定的だったのですが、知人医師から「これで良いんだ、むしろこっちの方が成績が良い。」と言われたのがキッカケでずっと続けていますが、確かに術後3か月、半年まで見ても、いわゆる中抜きと遜色がないか若干良いくらいです。
ですから私は中抜き骨切りは顎が大きいけれど顎先が後退している人に限って『中抜き骨切り・前方引き出し』にて行っています。これは2ケ所水平骨切りして、中の骨をダルマ落としのように抜いて、末梢の骨を前方に引き出して中枢側の骨に金属で留めているものです。

さて上記の骨切りでの最大のリスクはオトガイ神経損傷です。感覚麻痺・感覚鈍麻を念頭に、各医師はオトガイ神経近くの骨切りには慎重になっているものです。ただ神経を直接傷つけていなくても、上記画像のように剝き出しにして牽引を掛けている以上、神経の負担は避けられず、一過性の近く鈍磨はよくあることです。通常は半年くらいで自然治癒です。
次のリスクというより合併症は顔の腫れですね。まあまあ腫れます。私は中に血が溜まらないように細いドレーンを何本も使って且つ翌朝まで診療所のリカバリー室に居て安静を保ってもらっています(1泊入院みたいなもの)。ここまでやっても知人にあって大丈夫になるダウンタイムの期間は1週間~10日くらいが目安です。
他の合併症は術後痛です。しかし実は軽いです。ロキソニンなどの内服薬を3日飲むくらいで済ませられます。患者さんの心理として『骨を削られるくらいだから相当痛いはず。』との思いが良い意味で裏切られるくらい軽いです。だから痛みだけに関して言えば手術当日に日帰りも可能です。
また『中抜き骨切り・前方引き出し』で金属で骨を留めた人の抜鋼の時期ですが、術後1年前後が良いです。半年以内は早すぎるし、術後10年くらい経ってから来た人も経験がありますが、数年以上経てば抜鋼は難しくなります。
最後に料金ですが、消費税別で、上記のミニVライン顎骨削りは70万円、全身麻酔10万円、翌日昼前に帰宅の1泊入院代は1.5万円としています。合計が81.5万円+消費税=89万6500円ですが、私の本音は130万円の料金にしても妥当と思っています。ただ患者さんの殆どが20代で「100万円超えるとキツイ」と言われるので、提供する医療の価値の高さより安い料金でご提供しています。