鼻で醜形恐怖症の診断の患者の手術(4)

後日、親御さんが代金を支払い、軟骨移植の手術となりましたが、当日は神妙に手術をしました。
『今日の手術こそ精神外科手術、この子を救うも益々悩ませるも、この手術結果如何・・・。』
藤原佐為(ヒカルの碁)が真剣勝負を挑む時の心境でやりました。
手術直後、正確無比に出来たと思いましたが、そこは外科手術、創傷治癒は落ち着かないと結果の断言は出来ないものです。
(1週間後の診察時)
木村:「はい、抜糸が終わりました。まだ腫れもありますが自分で見てどう思いますか?」
患者:「良い・・・と思います。」
木村:「数日後、再度検診させて下さい。」
(次回診察時)
木村:「どうですか?」
患者:「かなり良くなったと思います。」
木村:「それを聞けて安堵します。まだ微妙に変化をして行きますが、もうこれで一旦は鼻の悩みは振り切って勉学に励んで下さい。」
患者:「はい。」
木村:「こだわり性ですから、気になれば1ヶ月後に検診に来て下さい。そしてまだ何か、と言われれば大学受験が終わってからなら、また受けますよ。」
患者:「ありがとうございます。」
木村:『良かった。表情が良い。精神的な閉塞状況から脱した様に見える。』

・・・藤原佐為は“神の一手を極める”と時々言っていましたが、この子に会ってから自分が佐為になった如く意識しておりました。
私がキッカケになってこの子の未来が救えるのなら本望です。
 精神的ケアを考えた美容外科を目指すのは私の望むところで、当院にも求人で精神科と内科の研鑽を積んだ長島京子看護師を若手スタッフとして昨日から招聘しました。共に頑張って行きたいと思っています。