鼻で醜形恐怖症の診断の患者の手術(3)

木村:「醜形恐怖症ですか。私に言わせれば今日では流行らない言葉でしょうが、あなたは“強迫神経症”ですよ。たぶん。 ・・・それで、精神科医は薬物を処方した?」
患者:「はい。」
木村:「精神科では“生物学的精神医学”として薬物で精神をコントロールすると言いますが、一時的に抑制しているだけに思えます。私はそれが気に入らないです。」
木村:「あなたが言っている、鼻がこうなった方が良いという美意識は正しい。ただ高校生で勉強に励むべき時期に何故それに固執するようになったかは、本当は精神科で、これまた流行らないけど“分析”をして貰いたいところです。ただ理由はともかく今、鼻を自分の理想に近づける手術を受けたら、勉強に専念できると思いますか?」
患者:「はい。」
木村:「誓えますか?」
患者:「はい。」
木村:「では、引き受けます。しかし丁度良いか微妙に物足りない位の結果が出せるようにします。やり過ぎは在学中のあなたの整形が皆にバレる結果になって新たな悩みが生じるのを杞憂するからね。」
木村:「微かに物足りないと思えば大学受験が終わってから、又、来てやるかも位に思い、とにかく鼻がハッキリ良くなれば当面はこの悩みは解消したとして勉強に明け暮れる日々を過ごして下さい。」
患者:「物足りな過ぎは困りますから、しっかり変えて下さい。」
木村:「あなたが見て変わった!と思える位はやります。」
木村:「それと親御さん、本人は自分でお金を貯めた、自分が払う等と言いますが、これは親御さんが出して下さい。」
親 :「先生にそこまで言われる筋合いはありませんが・・・。」
木村:「病的な鼻でもないのにお子さんが悩むようになったのは親の責任です。どんなに利発でも子供は子供、例え子供が超難関大に合格したとしても、それは子供の頑張りもあるでしょうが、親や周囲の環境が整っていたからの事。逆に優秀な頭脳の持ち主の子供が成績が極端に落ち込んでいるのは本人の責任より親の責任が多大です。だから親が手術代を払って当然と私は思います。」
親 :「はあ・・・。」(続く)