聖闘士星矢の車田正美 ②

聖闘士星矢
画像は今発売中の週刊少年チャンピオンの表紙ですが、私は『いやっ、懐かしくも嬉しい。これは射手座の黄金聖闘士アイオロスの聖衣(クロス)を纏った星矢じゃないか!30年近く経っても相変わらず同じ絵で魅了するのは凄い。』と思いました。

中の自伝的新連載は車田さんがよく使っていた言葉の「ダセェぜ。」がお似合いの下手クソな漫画です。もっと上手く描けるのに反って味を出しています。

この人の漫画の原点は、本宮ひろ志の泥臭い喧嘩漫画に憧れて漫画家になったように、下町人情・根性・熱血、格闘技で、後年の星矢に見るSF的な斬新さやロココ調の優美さは元々は無かったものです。

ですからデビュー作の「スケ番あらし」も、おてんば娘がヌンチャク振り回して暴れる泥臭い漫画なのですが連載20週程で打ち切られています。しかし辛うじて単行本化され、2巻目の表紙裏の車田さんの顔写真の下に『(デビュー作がやっと1巻発売され、涙ながらに)西日の当る4畳半で繰り返し繰り返し読んだ。』こういう様な行があった筈です。“西日の当る4畳半”とは生活の困窮を意味しているのと思います。

2作目の「リングにけかろ」はデビュー作の主人公のおてんば娘同様の性格の姉と、その弟が2人三脚で、弟がボクサーになって行く漫画ですが、連載当初は絵は下手、ストーリーは下積み生活に加え、姉ちゃん、母ちゃんと湿っぽく、おまけにこの弟は主人公なのに性格が曖昧(キャラが立っていない)なのです。 漫画は小説と違い、主人公が輝くキャラを見せ、あとは脇役の何人かも個性が際立てば、話しに多少の矛盾はあっても「キャプテン翼」のように人気を博するものですが。

「リングにかけろ」を荒唐無稽路線に舵を切らねば、2年ほどの連載で終了し、のちに車田さんは漫画家を辞めたと思います。元々天職ではありませんから(笑。

今回の自伝的連載で私が一番注目しているのは、どのようにして荒唐無稽路線に変えて行ったかです。これは車田さんの閃きなのか、編集者のアドバイスなのか、また別のものかということです。