鼻翼縮小の正面顔での変化

ご紹介のモニターさんの画像は上から、術前、抜糸時(7日後)、術後37日後となります。

術後7日後は、鼻先が術前より太めに見えるのが分かります。
鼻先は何も手術操作を加えていないのに太くなっているのは、循環障害からの鬱血からです。
鼻翼基部を外側~下~鼻腔内まで切開して一塊に切除を行うため、鼻翼基部を縦方向に通っている血管が切られることになります。そのうち新生血管としてまた縦方向に向かう血管が再生してきますが、術後7日くらいでは、まだ非常に細く鼻先へ上方や鼻柱部から来た血液が鼻翼基部を通ってスムーズに還って行くことが出来ず、鼻先が鬱血で太めになっているのです。
この頁の上段も同様な経過が載っています

術後、鼻翼基部に新生血管として再生してきた血管が、1カ月も過ぎる頃になれば、だいぶ術前に近い状態の静脈環流を回復するようになり、鼻先の鬱血が解消し、鼻先もスッキリと元に近い状態に戻って来るものです。

さて、【鼻翼縮小は外を切らずに内側だけで効果が出せるか?】
この医学論争には、私は「無理」との見解を抱いています。術直後だけでなく半年以上の長期観察の上でです。
私も、むやみに見えるところを切開するのは忍びなく、以前は鼻翼縮小内側法でやれないかと、学会で発表もあった「X-Plasty」やサークル縫合の追加等、工夫を重ねていた時期もありました。勤務医だった頃です。

そして確かに術直後は「まあ、変化が小さめだけと良いかな?」と思えた事もありました。しかし形状的に「自然で綺麗」と言い難く、特にサークル縫合で基部を寄せると人中上方が富士山のような高まりが出来てしまい、何か不自然なのです。そして人中上方の富士山が治る頃に鼻翼の形状も戻ったものです。

鼻腔内だけでなく鼻孔の下方も切除すればこれは鼻孔周径が小さくなり効果は少し永続するのですが、やはり患者さんの期待に応える程の効果が続かず、また鼻翼基部での鼻孔縁まで切除するなら鼻腔内に留まらず外を切るので、もう「内側法」とは言えないですから、私は「中間法」と呼び、同業の医師にそう呼びかけたり、HPやブログで、そのように書いた時期があります。

しかし今もって鼻腔内~鼻翼基部での鼻孔縁切除を「内側法」と呼ぶ医師は少なくありません。外側を切らないから広義では内側法と呼べなくもないというところでしょうが、釈然としない表現です。