2つの美容外科学会が協調関係となって行くのを願う

 外科系の基礎が全くなくて美容外科に就職し、縫合から勉強をする生き方は如何なものかと昔は思ってましたが、その様な医師で目や鼻、豊胸、脂肪吸引・注入で抜群に上手い手術をされる先生がいるのを知ってしまった以上、今の私はその生き方も否定はしません。ただ自分のテリトリーを認識し、それを超えた分野は速やかに他医に紹介すべきです。
また稲葉益巳先生のように美容外科の標榜をしていてもワキガ手術しかしない、また鼻の手術ばかりする医師、長茎術など陰茎の手術するばかりする医師もいる訳で、高須先生が、美容外科は「一つのカテゴリー」「第三の医学で、あらゆる叡智を集めるできだと思います」と言われました様に自分の美容医療の分野の範囲を限って深く掘り下げる姿勢で臨む時、ノンサージェリーの美容医療が多くなっている現在、皮膚科、内科(AGAやホルモン補充、点滴等)出身も良いと思いますし、外科分野も部位別に、眼科、耳鼻科、泌尿器科、産婦人科、外科(乳腺)出身者であっても構わないと思います(整形外科は手技的には形成外科とオーバーラップしますし、骨切りには親近感がありますからね)。
ただ美容外科全般に一番近い診療科は形成外科なので、私が医学生だった頃と違い、今はどこの形成外科も温度差はあれ美容外科容認の意向ですから真剣に美容外科全般を志す医学生・研修医は形成外科に入局が良いと思います。ただ懸念するのは入局先によっては手術に値する症例が少ない、外の出向病院が経験を積むに値しないところもあり、これでは専門医を取得しても実が伴いません。医局選び、出向先の運は大きいです。
さて、問題は過去に医師のスタートを形成外科でない科から始めた医師や今後も出現するそういう青年医師で、後年、美容外科をやりたくなった医師をどうするかですが、私は2つの学会は統合せず、形成系、開業医系で別れたままでそれぞれの学会に加入してもらう現状で良いと思います。ただ日本医学会分科会加入と日本専門医制評価・認定機構への加入する際には形式上1つの美容外科学会にすべきで、その中で2つ別れたままにしておくべきでしょう。
そうすればスタンスの違いはあっても同じ枠内ですから過去の恩讐を超えて、協力すべき時は一致して協力する事になります。また今までを顧みれば大手美容外科の総院長クラスは総じて非形成外科医です。しかし雇っている中に相当数の形成外科医がおりますが、実際いがみ合っている事はありません。
画像ですが独仏は過去は戦争で血を流す宿敵関係にありましたが、戦後は協調関係、EUの枠内で独仏枢軸とまでになりました。私は2つの学会が独仏関係同様となって行くのを願うものであります。(終わり)