創と傷。‐傷の字の意は皮膚が切れているのか、いないのか。

検索窓に「そうしょう」と入れますと「創傷」に漢字変換できます。一般の人でも使うこの言葉、医療用語としての創傷とは実は、外部と内部の違う意味の合わせ字となります。
創傷の「創(ソウ)」とは皮膚が切れていて外部の損害、「傷(ショウ)」とは皮膚が切れておらず内部の損害を意味します。
ですから整形外科では追突事故などのムチウチを「頚部挫傷」とも言います。「傷」という漢字が使ってあっても頚の皮膚が切れていないのです。

また漢和辞典を転記してみます。
【創】ソウ 刀できずつく。また、はじめの意に用いる。[一] ①きずつく、きずつける、そこなう。②きず。③玉の音。[二]①はじめる(始)。はじめ。②つくる。はじめてつくる。

【傷】ショウ 「きず」ひいて「いたむ」の意を表わす。①きず。(ア)けが。(イ)損害。②きずつける。そこなう。きずつく。③やぶれる。やぶる。④いたむ。⑤いためる。⑥いたましい。⑦ふれる。あたる。⑧わかじに(夭)。

・・・創の本字は刅とあり、刃で切るのが語源です。傷の本字は右側の易に似た字が本字ですが、上の漢和辞典の説明を読むと①~③までは表面を損なう感じ、④~⑥は中身まで来ている感じに私は思います。

そして【創】の[一] ①②と【傷】の①②の「きず」とは「傷」と書けるはずです。ここでは表面を損なう感じですね。医療の現場でも「傷に軟膏塗布」などと明らかに皮膚表面を損なった意味で「傷」の字を使う事が多いです。しかし創傷や頚部挫傷で使う「傷」では中身だけを損なう意味です。
これは・・・「傷」という漢字は、「キズ」と読めば皮膚表面の損害、「ショウ」と読めば内部の損害を意味するものです。