脂肪吸引後に深部静脈血栓・肺塞栓で損害賠償が唯一認定された判例の概要

関東で4院チェーン展開していたクリニックの東京23区外のクリニックで、30歳の肥満女性(身長156.5cm、体重64kg)が太腿内外の局所麻酔日帰り脂肪吸引900ccの3週間後に急死した(900ccのうち吸引前にtumescent液として注入する主に生理食塩水が約4割含まれるので純脂肪は500cc台)。 死因は深部静脈塞栓・肺塞栓(俗に言うエコノミークラス症候群)だった。 遺族は、太腿の脂肪吸引のために起きたと、院長と執刀医の2人を刑事告発ならびに民事訴訟提訴した。(下記は産経新聞の記事で報道時には閉院している)。
美容外科手術で死亡事故が起きたと報道
【民事訴訟の概要】 ・死因は肺動脈血栓塞栓症で、脂肪吸引と死との因果関係は下記の写真にある大伏在静脈内の粒状血栓が原因なのか争われた。 ・剖検医は杏林大学法医学の佐藤喜宣医師(当時TVのザ・ワイドに毎週出演などメディアの著名人)は右膝上10cm辺りの脂肪層内の大伏在静脈内に米粒より小さい陳旧性血栓を解剖で確認し、これを「起源」として術後3週間後の急死の証言をした。証人尋問中に『大伏在静脈は深部静脈』と繰り返し、被告医師は「大伏在静脈は表在静脈の代表系なんです。」と間違いを質したが、「そうですか。」とかわし(尋問調書、15頁)、尋問中に最後まで『大伏在静脈は深部静脈』を撤回しなかった。 ・被告医師は血管外科の成書・学術書、10人の血管外科医からの回答書を証拠として提出し大伏在静脈内の粒状血栓がは肺動脈血栓塞栓症とは無関係と主張。更に大学病院の血管外科医からの私的鑑定書を提出し重ねて因果関係はない主張をした。 ・鑑定医は昭和大学形成外科の原口和久医師(判決が確定前に原口クリニックを開業)で、「血栓塞栓症の起因静脈は深部静脈が大部分であることは否定しようがないが、表在静脈が原因となることがない訳でなく(資料1、28、31)脂肪吸引術においてもその治療部位が表在層にとどまるとはいえ起こり得る可能性は治療に携わる美容外科医・形成外科医として考えておくべきである(鑑定書2頁中段)。」と鑑定した。 ・患者は術後15日後(急死5日前)に持病の坐骨神経痛で左下腿~足背で「足がいたむ」と書き、近くの整形外科を受診した際、太もも痛の訴えはなく、診察ベッド上での医師の診察でも太ももに痛みの所見がなかったのがカルテの証拠で提出されている。 ・死の前日は勤労感謝日の祝日土曜だった。その日の午後に20日前に脂肪吸引した当該美容クリニックに突如「階段から落ちて捻挫したので湿布を張って欲しい。」と来院した。上記の整形外科は休診だった。この時に被告医師は顎骨削り中で看護師と共に手術室内にいた。湿布貼付は事務長が行って、患者は「あー、どうも。」と言って帰宅した。被告医師は他に2名の診療があり23時まで勤務した。 ・もう一つの争点は「階段から落ちて捻挫したので湿布を張って欲しい。」を受付が伝えたか否か、伝えられた場合、顎骨削り中に捻挫診察から翌日の急死を予見して救命措置ができたかだった。受付は湿布貼付来院の件を「伝えたと思います。」と繰り返えし証言したが、被告医師は繰り返し「聞いていません。」と証言した。 ・これには「まず診察をおこなうべきであった。」と原口和久医師は鑑定書5頁下段で鑑定した。6頁では「下肢痛・腫脹がその治療法(脂肪吸引法)に関連ある血栓塞栓の一症状である可能性は否定できず、その時点で血栓塞栓症の発症と考えることは確定診断でないないにしても不自然ではないと考える。」と鑑定した。 ・地裁判決は執刀医への550万円と金利の賠償命令。そして主任裁判官だった齋藤隆(民事49部総括)によって判決文を最高裁サイトに掲載16年6月から掲載。しかし18年以上経った後に電話一本「医学的に間違っています」の通報で、削除依頼はなかったのに、最高裁サイト上で初めての削除になった(令和4年9月)。
【本事件への私的所感】 ・局所麻酔・日帰り脂肪吸引はKlein医師が開発のTumscent法で行えば安全性の高い手術である。 ・表在静脈である大伏在静脈は内腔が2~3mm程度であり、膝上10cm辺りのる大伏在静脈の粒状孤立性血栓があったところで生命の危機に繋がることなど全くない。 ・『大伏在静脈は深部静脈』と繰り返す佐藤医師は根本から間違っており、「表在静脈が原因となることがない訳でなく(資料1、28、31)」と鑑定する原口医師は、証拠にならない資料に番号を振っただけである。 ・「階段から落ちて捻挫したので湿布を張って欲しい。」と来院した患者に美容クリニックは普通は対応しない。だが20日前に脂肪吸引した患者である。だからであろう事務長は湿布貼付した。ここで被告医師にそれが伝えられたか否かは措いても顎骨削り中の患者を放り出して捻挫に湿布貼付から翌日の急死を予見して救命救急の対応をすべきだったと裁判官が判断したのは医療者だけでなく一般人が考えても無理筋と考える。
⇒ 事件の詳細と裁判の経過はこちら ※閲覧注意:以下のリンクも表記も死体や解剖の生写真が表示、気分を害しそうな方は閲覧を止めて下さい。杏林大学法医学の佐藤喜宣証人(テレビのザ・ワイドに毎週出演などメディアの著名人)は、大伏在静脈は深部静脈」の違いも分からぬままに医学的に間違った証言を続けた後、それの反対尋問をしようとした被告医師には齋藤隆裁判長(現在、ひかり総合法律事務所の弁護士:以下「齋藤」と称す)から「1度尋問の機会を与えたから2度目は与えない。」と却下し、右陪席が「仮に手術後に下肢痛を訴えていたと仮定しますと」との質問に「因果関係が大変強く結ばれるということにはなりますが~,そこはやはり専門の先生の鑑定なり意見を聞かれるべきだというふうに思います。」と証言して、証人尋問が終了したが、尋問終了時刻を1時間余り残して早々に切り上げた。齋藤の「2度目は与えない。」と却下した言葉は事前に告げもせず被告の正当な反対尋問権の阻害であったが調書からこの自らの不当な言葉も削除しており、公正さに反している。 そして鑑定人には何故か血管外科に全く素人の大学病院の医師が撰ばれ、鑑定書では剖検の照合の記載もせずに因果関係有りと鑑定した。しかしその裏付け資料として挙げた資料が裏付けとなっていないのは別頁の詳述のとおりである。(> 詳しくはこちら) また鑑定書5頁の下から4~5行目に「下肢痛・腫脹という訴えの緊急性の認識度によるが」と書くが、「下肢痛」はこの指摘日の5日前に整形外科認定医の診察を受けたカルテが乙第11号証で提出されており、脂肪吸引をした部位でなく左膝より下の部分の痛みで、カルテ所見から椎間板ヘルニアからと診られる坐骨神経痛である。 また「腫脹」は裁判資料のどこにもその記載はない。死体画像を小さく載せたが、見てのとおり下肢の腫脹など画像的にも認められない。鑑定書は非医学的で杜撰な記述が多い。 しかし齋藤は、判決文で被告医師の因果関係無しとなる血管外科の認定医が書いた多数の書証や意見書からの主張を無視し、証人と鑑定医の方を採用し医師が顎骨削り中に『捻挫したので湿布を張って欲しい。」への実現がなかったことに期待権の侵害』として医師を糾弾、賠償命令をした。 齋藤隆裁判長 ひかり総合法律事務所 (予約手術中の患者)を放り出しても捻挫を診るべきと、医師に550万円+支払遅延損害金の賠償の判決を命じたことは医療者にとって脅威である。 またこの判決は 形成外科等(脂肪層での)手術後エコノミークラス症候群で死亡すれば医師に損害賠償できる患者側弁護士援助の先駆的判例となった。 この判決は期待権の侵害と軌を一にしているが、医療者へ超人的な責務を課し、また伝達義務違反逃れのため嘘で「伝えたと思います。」と言った敵性証人の受付 (> 陳述書はこちら)に「原被告のいずれとも利害関係のない第三者」と自由心象主義違反の判示、また「当初は足の痛みを訴える電話がかかってきたことを伝えられてないと述べていたのに(乙第45,第46号証)~本人尋問において何かそういうことは聞いていたと供述を変遷させる」とまた虚偽の判示をしているが、乙第45,第46号証は「緊急性,重篤性が伝えられてない」と書いており、殆どの者が裁判記録と照合しないの内容と反することを判決文で書いても分からぬと齋藤隆裁判官は謀ったのである。そして「供述を変遷」から被告医師を信用ならぬと、捻挫のことは聞いているしたのである。そして判決文中で「受付担当の■■に対し,階段から落ちて足を捻挫した」と書いているのに、550万円の損害賠償を下す前の項になって「来院を告げられてその訴える下肢痛等に着目して血栓の発生を」と、「捻挫」と「血栓」をすり替えている作文さえ行っている。
この不当判決は⇒判例検索で脂肪吸引と入れると直ぐPDFが表示されるし、Googleで「脂肪吸引 判例」での検索でトップ頁に表示される。(> PDFはこちら)判決文では「階段から落ちて捻挫した」事実を挙げており、またその5日前の左膝下の神経痛の整形外科認定医の診察で既に両太腿の痛みはなかった証拠や剖検医は下肢深部静脈である「大腿静脈と下腿静脈に特記することはない。」と回答が提出されているのに、判決文で賠償を課す前の「下肢深部静脈血栓に起因する痛みでの診察希望と虚偽にすり替えて書いている。剖検では下肢深部静脈に特記することはないとの回答や、急死の5日と6時間前に患者自らが左下腿外側~足背の痛みだけを訴え、整形外科認定医に両下肢を精査してもらい椎間板ヘルニア疑いによる坐骨神経痛と診断した証拠が出ている。この主張も無視され下肢に腫脹が無かったのは死体画像からも分かることであるが、判決文では死の前日の捻挫来院が、下肢深部静脈に基づく痛みと腫脹を診てもらいたかったことと捏造されて判決文が書かれている。 裁判所の判事の殆どは真面目で公正な方々と信じたいが、医師の世界には偏向思想の持ち主や犯罪者が現実にいる。裁判官の場合どんな有り得ないな判決文を書いても故意が立証されないと責任を問われず、国家賠償しかないである。これでは自浄作用が働かず、トンデモ判決が横行し続けることになる。 近年の乳腺外科医裁判の控訴審も術後患者が病棟に戻って来た後、執刀医が患者の乳頭を舐めながら自らの陰茎をしごいてオナニーしたとの患者供述に裁判長は「迫真性がある。」と認容し、医師に執行猶予なしの実刑2年を言い渡した判例など醜すぎる。 私は判例研究をしたが、医療を知らない裁判官が医療訴訟を判断すること自体に無理があると考えている。
キーワード: 齋藤隆裁判官, ひかり総合法律事務所, 佐藤宣喜医師,原口和久医師, 誤判