性転換専門医 和田耕治医師の死因

和田先生が急死された後で、和田先生の下で働いていた看護師を当院で雇いました。
当時、私は当院で行う性転換手術(性別適合手術:SRS)のため、看護師から和田式手術に関するノウハウを教えてもらいたいという意図がありましたので。

聞けば、和田先生のクリニックは美容整形全般に巧みの技の手術で仕上がりが良いのに料金設定が安く、特に性転換は麻酔・手術・3泊入院込みで90万円、術後ケアセットが2万円、これに消費税で、尿道粘膜で膣壁形成を行う高度な手術を行っていましたから、全国から患者さんが殺到していました。
それで和田先生は夜中まで手術を続けることが多く、クタクタになるまで働いていたそうです。そのため帰宅することなくクリニックに年中泊まり込みでした。

性転換専門医 和田耕治医師の死因そして真っ当な医師の精神として、手術が終わった後も術後のこと(出血、化膿、壊死、変形、または生命予後)が頭をよぎると眠れなくなり、強制的に眠るために全身麻酔の吸入ガスを吸って寝ていたそうです。
画像に掲げるセボフルランの使用です。これは気道刺激性は少ない方ですが、独特のキツイ臭いがありますから、好んで吸うようなものではないです。

患者さんに使う量より多く業者に発注するので、変に思われるのが嫌で、スタッフには予め“眠剤”として使っていることを説明していたそうです。

ただ、これが急死の直接原因ではないのは、麻酔を掛けている医師なら分かるものです。ガスを吸い込むくらいでは自発呼吸は止まりません。全身麻酔でセボフルランを使っている時(GOS)、手術が終わりに近づいたから、もう筋弛緩剤は注入しないので、ベンチレーターを止めれば、血中炭酸ガス濃度の高まりで自発呼吸は出るものです。若くて健康な人ならこれで血中酸素飽和度は98%以上が表示されます。

ですから和田先生が過労死と言われているのは正しいと思います。
医師の場合、ロクに寝ていないだろうが、体調が悪いだろうが、休んだり手抜き手術はできません。患者さんの一生に関わってきますからね。

私の医学部時代の旧友も消化器外科に入局し、連日病院泊まり込みで週110時間くらいの働きづめで、医師3年目の時に急死しています。消化器外科病棟で夜中3時まで働き、そこから病棟の宿直室で寝たそうですが、朝になっても起きて来ないので、看護師が見に行ったら死んでいたそうです。
身を削るような思いで働き続けると、本当に命が尽きてしまいます。

和田先生もご冥福をお祈りします。