2つの美容外科学会統一への想い (故・稲葉益巳先生:1993)

 故・稲葉益巳先生は嘗て、JSASの美容外科学会を代表するお一人であり発言力は甚大でした。私は長谷川先生が稲葉先生と懇意だった時期に知遇を得、また後に同世代の安見正志先生の後継者と決まったのもあって、稲葉先生と何回も懇談出来た事は有難い事だったと思います。また稲葉式の皮下組織搾除器を譲って頂き、稲葉クリニックの民上先生と手に手を添えて技術を伝授して下さった事など今もって感謝の念に絶えません。
その稲葉先生は晩年は2つの美容外科学会の統一に前向きで、JSASの美容外科学会誌1993年の巻頭言でその事を書かれています(ここを≫クリック)。大事な点は下記に転写致します。
なお私は先生が亡くなる1年余り前に直接聞かされたのですが、「こちらの学会にまだ勢いがあるうちに対等合併に持ち込みたい。」「私は実は元○○大学の形成の教授だった○○先生とは仲は良いんだ。」・・・この『良い』の真意はお聞き出来ませんでしたが『美容外科の将来に向けて真摯に話し合い出来ている』との意味ではなかったか?と解釈しています。

専門医制度について
~私個人の一意見としては日本医学会の流れに逆らうことなく両学会の統一を図り日本医学分科会に加入することが先決問題であると解釈している。そのためには当学会も他の学会に比して遜色のない様に質的向上をはからざるをえない。学会誌も編集委員各位のご努力によって学会誌の遅れを取り戻して対面を整備しつつある。当学会も専門医制度を発足させて5年になるが、この間専門医として規約を履行してない方もおられ淘汰する必要に迫られているので、認定の有効期間を5年としてその更新制度に踏み切ったのである。もし両学会が統一せざるをえない状態が来ても堂々と専門医としての資格を主張できる様に大いに研鑽して戴き、また医療トラブルに巻き込まれないように留意しながら今後の健闘を期待したい。 稲葉益巳(稲葉クリニック)