歯のインプラント手術で大量出血→死亡のニュース

 下顎骨をドリルで削る際に顎の骨を貫通させ動脈を巻きこんで切断し大量出血とのことですが、「大量出血を認識した後も手術を継続。女性は数十分のうちに容体が急変して心肺停止状態となり、」とニュース記事にあります。
 歯科医は「約30年間で計3万本の症例を経験した」などと説明。国内のインプラント手術の先駆者として知られていたと言い・・・。となれば歯科医師にとっては想定外だったと思います。
 この傷つけた動脈は顔面動脈か外頸動脈の分岐が考えられますが、美容外科クリニックで骨削り担当の医師は、エラ削りや顎の側方削りの際にその動脈を損傷するリスクはいつも考えながらやっています。そして実際全国の美容外科クリニックで術中に下顎骨削りでその動脈損傷は有り得るもので、すごく稀なことではないです。ただ、患者さんが亡くなったとは一度も聞いた事がありません。それは動脈を傷つけ拍動性の出血を勢いよくみても、ガーゼを出血部位に詰め込む(パッキング)もしくは皮膚の上から出血部をしばらく圧迫するのを続けていれば大抵止まります。1時間以上経ってガーゼパッキングを外しても出血を見るようなら、今年1月の美容外科学会でも誰かが発表していましたが、翌朝までガーゼを詰め込んでいれば良いのです。翌朝、ガーゼをそっと除けば、もう止血状態です。
 手術において注意する事、万一そうなったらどうリカバーするかという事を念頭にあれば大事に至る事はまずありません。