美容外科を目指す医学生(女性)からの相談

 私がブログにこんな事を書いたので、先日進路に迷っている医学部生が来院し相談に乗りました。彼女の悩みは「形成の入局を考えて医局の意向を聞いたら、卒後7年間は妊娠するな!と言われました。7年は長いです。」・・・医局長って、そこまで明言するんですか!と私は呆れました。それで警察病院で10年形成をやって今、大手美容外科本院の院長をしている某先生の言葉を拝借して「美容外科の手術で形成やってて役に立ったなという手術は100に1つもないよ。」と言い、次は私の言葉として「大学の形成の教授かそれに近い先生が学生に、美容外科をやるんなら形成外科をやってないとモノにならないって言うんだろうけど、それは言い過ぎ!結局は目の前の女性を綺麗にしてあげたいという気持ちの強さの有無、あとは経験とセンス。外科系の基礎はあった方が良いが、それなら私が進路指導を受けたようにハンド・マイクロ志向でやっていれば手術・外傷処置の件数が莫大な整形外科に属するのも一つの道と思う。でも放射線科半年の経歴の後、大手美容外科就職の先生で飛びぬけて上手い先生もいるから、やはり心掛けが一番大事。」と話しました。
 じゃあ具体的に彼女にどう薦めたかと言うと形成の入局です。続けてこう話しました。「私が卒業する頃の昭和60年代は大学の形成外科の多くが美容を毛嫌いしていたから、形成外科学会会長に選出されるには美容外科学会に入会していないことが問われる状況だった。しかし平成の今なら多くの形成外科の医局は美容外科を志しますと言っても理解してくれようから、貴女には形成外科の入局を薦めます。但し初期研修では出来るだけ長く麻酔科研修を受ける事。美容外科クリニック側では麻酔のキャリアを意外なほどに必要とします。」こんな風に話しました。
 この人は私のこんな記述も読んでくれていて、「御母さんが子育てを手伝ってくれるなら、キャリアを曲がりなりにも継続して行けようから、形成入局で良いです。しかし美容外科志向だけど、妊娠出産育児で何年かリタイアが前提なら、麻酔科入局で標榜医は取ってリタイア、後年の復帰は美容外科クリニックに麻酔科標榜医(兼)美容外科見習で勤め、埋没法とプロテーゼ物が主体の技術には限界のある美容整形医として生きる道はあります。でも私はそれも良いと思います。技術レベルの高い手術より、定型的で簡単な手術の方が患者さんを幸せにすることが多いからです。そして『自分は外科のキャリアがないから、難しいのは他医に紹介だけど、よくある手術では1流を目指します』と精進すれば、本当にモノにできます。手術項目がやや制限されても、患者さんを綺麗にして上げたいという熱意は遂げられます。」こんな話をしました。