歯科医が口唇へのヒアルロン酸注入:生き残り策の一環

 一昨日のニュースで、”歯科医が「顔のしわ取り」急増”とあります。患者さんにヒアルロン酸注射を行っているのです。「歯科医過剰の時代、他との差別化による生き残り策の一環」と書かれてありましたが、今や歯科医院はコンビニより数が多く、「歯科医の5人に1人は年収300万円以下だという。」と別の記事でも読みますから、なりふり構わずというところでしょう。
Q-MED社(瑞)のヒアルロン酸の輸入代行を行うウェルハート社は「2、3年前から歯科医の注文が増え始め、ゼロだった輸入希望者は今や500人近く。同社が開く歯科医向け美容治療セミナーも、毎月開催するほど希望者が多い。」ともあります。
記事には、“7月に都内で開かれたセミナーには、歯科医5人が参加。座学と実技に熱心に取り組んだ。講師の美容歯科医、清水洋利さんは「歯科治療の延長上の選択肢として希望者に行うなら問題ない。技術的にも、麻酔で日常的に注射をする歯科医には向いていると話す。」「日本歯科医師会も違法行為には当たらないとしている。」”等とありますが、これは歯科医院の収益UPを狙ったものであり、患者視点からの発想ではないのは明らかです。
ただ、この件に関して私、木村は賛成か反対かと問われれば、「・・・歯科医のホウレイ線を含めた口唇へのヒアルロン酸注入には反対はしない。まあ賛成して良い。」と回答します。
ヒアルロン酸の需要で最も多く且つ満足度も高いのはホウレイ線への注入です。唇をふっくらさせるのも結構需要がありますが、ここに歯科医がヒアルロン酸注入をするとなれば必ず美容外科・美容皮膚科医より値段を下げてきます。すると眉間・目尻も含めたヒアルロン酸注入料金全体が下がって適正価格に落ち着くでしょう。歯科医師たちの動きが自分たちの利益の追求であっても結果的に患者の利益になっていくはずです。
規制撤廃・競争原理導入というのは総じて国家・国民の利益に繋がるものです。私は医師である前に日本国民であるという観点から、歯科医の口唇周りへのヒアルロン酸注入には一応賛成します。