肩幅を狭くする手術を(金属固定なし)まず右で行う

以前のブログで、金属を使って強制的に鎖骨を縮めて固定せずに、手術は骨切だけで、後は患者さんに幅広のベルトなどで肩が狭くなるように圧迫してもらう治療の場合、効果は小さいとの記事を書きました。
ところが、この幅広のベルトの固定次第では金属を入れたのと同じくらいの効果を出した患者さんが現れて私は驚いてしました。肩幅を狭くする手術
画像のモニターさん(画像クリックで拡大)は、まず右側だけ行ったのですが、肩幅に注目すれば右は女性、左は男性のように見えます。
金属固定をしないから、傷はごく小さいです。

とは言え、この手術の問題点は、鎖骨だけ短くするため健全で健康的な胸郭と言えないこと(猫背ぎみ)。
日常生活動作で問題は出ませんが、恐らくバレーボールなどのように上肢を垂直挙上して力を入れる動作を繰り返すのは、不向きになってしまうはずです。

さて「金属を入れずに切った骨はくっ付きますか?」との疑問も出るでしょうが、これには「ほぼ全例近く骨癒合が得られます。」と回答して良いと思います。

整形外科の名著に「対立する整形外科治療法(南江堂)」があり、私も研修医の頃にオーベンから勧められて買っていますが、「手術して金属で留めて骨折前と同じ形状をえるべきだ。」という意見と「骨癒合が良いし短縮癒合しても何ら機能障害を出さないからバンド固定治療で良い。」との意見がぶつかっています。

後者の考えで、上記モニターさんは治療を受けたことになりますが、骨癒合を得られるまでは時々レントゲン撮影をしては仮骨の出来具合など見つつROM(関節可動域)の指示をします。早々に腕を上げて治療前の動きを許可できないですから、やはり社会復帰までのハードルは高いです。

なお繰り返し書きますが、性同一性障害の男→女の人が対象です。綺麗な胸郭を目指すものでなく、男の要素をムリヤリ削り落すような手術だからです。