眼窩下神経ブロック(鼻の整形で痛くなくて安全)

鼻の整形の既往がある人が当院に初診で訪れた際に「死ぬほど痛かったので、再手術は静脈麻酔でお願いしたいです。」と言われることがあります。
すると私は「鼻中隔延長をやるのなら静脈麻酔または全身麻酔は分りますが、隆鼻プロテーゼ、鼻尖縮小、鼻翼縮小、鼻先軟骨移植などでは全く不要です。」と答えます。
そして「鼻の整形には良い麻酔があるんです。頬骨の内側から鼻へ行く神経があるので、いわゆるツボ打ちとして頬の内側に麻酔の注射をすれば鼻が痺れて来るんです。」とご説明します。
眼窩下神経ブロック 鼻の整形画像のモニターさん(モザイク無し了承)は鼻の整形前に右頬内側にこの麻酔を打つ直前ですが、頬肉は鼻先の皮膚と比べれば柔らかいので麻酔の細い針を刺す痛みも軽く患者さんが痛がるようなことはないです。
そして打って2~3分もすれば麻酔液が頬骨内側から出て鼻に向かう神経に浸み込み鼻およびホウレイ線上方、人中、上唇まで痺れて来るものです。

この麻酔方法は正確には「ブロック注射」とか「伝達麻酔」等と言います。画像のような部位ですと眼窩の下ですので「眼窩下神経ブロック」と呼びます。

静脈麻酔が痛みを取るのでなく眠らせるだけの麻酔なのに対し、この麻酔単独では眠気は生じずに痛みだけ無くすものです。これに加えて眠気を覚えて頂きたいので当院では術直前に睡眠導入剤の内服もして頂きます(この薬剤費は手術代に含まれます)。すると「眼窩下神経ブロック」で痛くなく、睡眠導入剤で深い眠りまで行かなくても緊張がほぐれ、うとうとして時間が経つのを忘れる感じで手術中を過ごして頂けます。

美容手術とは安全安心が大前提なので、実は静脈麻酔で少し効き過ぎれば呼吸抑制が来て呼吸が止まる(正確には、まず舌根沈下して気道閉塞)ようなリスクのあることは、その麻酔を掛ける必要があるから敢えて行うのであって、安易に静脈麻酔を行うべきでは無いのです。

このことは医師なら皆分かっているものですから、静脈麻酔ではバイタルのチェック(血中酸素飽和度の計測は必須)をしながら慎重に行っているものです。